――キャリキャンを通じて、何が変わりましたか?
松原 挑戦することへの抵抗がなくなりました。やってみてできないことは仲間や社会人に頼る。100%の状態でなくともまずは走り出して、やりながら考えて改善する。できない言い訳を探さなくなりました。一年間でオンラインイベントを30回以上企画して、運営してきました。作り手側の苦労を知り、何事も実践することではじめて学べるのだと気が付きました。
一人で抱え込んだ失敗から得た学び
――実際に、企画したイベントと学んだことを教えてください。
松原 成功例としては、学生メンバー3人で企画した「自分探しジャーニー」というイベントがあります。過去の経験を中心に自己紹介しながら、気になったところをお互いに質問して深掘りするというイベントです。深く知らない人同士だからこそ第一印象と話した後の印象も変わり、お互いに最初の印象との変化についてシェアして、自分の知らない自分の良さに気づくことができました。
このイベントを企画した背景には、当時キャリキャン全体でのイベントの参加率が低かったということがあります。「原因はなんだろう?」という疑問を持ったので、キャリキャンに所属する学生にヒアリングし、どんな内容だったら参加したいと思うか、どうしたら参加者同士の仲が深まるかなど、何度も話し合ってこの企画を作りました。参加ハードルが低いこと、他のメンバーとの交流があること、単なる遊びではなく有益な時間となること、という条件をクリアしたプログラムを考えることはとても難しかったですが、参加者の満足度が高かったことは本当にうれしかったです。
一方、失敗例として思い出すのは複数の学生の声をもとに企画した「20人限定の社会人×学生の少人数交流会」というイベントですね。事前準備から当日の運営まで一人で行ったのですが、当日参加が確認できていない人への連絡で進行が止まってしまったり、終了時刻が予定より10分以上押してしまったり、作成したアンケートに不備が見つかったり、予期しない出来事に焦ってしまいました。
このイベントを企画する前は「一人で全てをこなせるのってかっこいいし、それこそが挑戦だ!」と思い込んでいたのですが、必要な仕事や当日起こり得る問題を洗い出すこと、それをもとに役割分担して他のメンバーを頼ることも大きな挑戦なのだと学ぶことができましたね。
――社会人からフィードバックを受けて印象に残っていることはありますか。
松原 あるイベント終了後、参加してくださった社会人が「運営しているとあまり話を聞けないですよね。それで大丈夫ですか?もし再度開催するときは松原さんもちゃんと得するように、当日の運営は私がやってもいいですよ」と言ってくださいました。私はこの言葉にとても驚きました。それまで「参加者にとって有益であるか」ということだけをひたすら考えていたので、自分にとっても有益になるかどうかまでは全く意識が回っていませんでした。この言葉を聞いてからは、自分がこのイベントを開催する意味や成長は何か、ということを考えるようになりました。
――キャリアに対する意識も変化しましたか。
松原 キャリアって本当に様々なんだ、と実感しました。小学生から学部時代までずっと教員になることだけを考えていたので、キャリキャンに入って多くの社会人に出会い、自分の見えていた世界の狭さを認識しました。