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私はなぜ抗議するのか 弾圧続くミャンマー、9人の声

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

2021年2月1日早朝、ミャンマー国軍の将校たちは20年11月の選挙結果を無効にすべく、クーデターを起こした。しかし、国民からこれほど大きな反発があるとは予想していなかったかもしれない。

当初、保守的な仏教国の人々は沈黙しているように見えた。しかし、警察による捜査や逮捕が始まった4日目には、若者を中心に平和的な抗議活動を行う人々が街にあふれた。かつての軍事独裁を経験してきた年配の世代も、熱烈な怒りを持って抵抗に加わった。

ミャンマー最大の都市ヤンゴンでは、2月7日、数万人の市民が街に出た。白衣を着た大勢の医学生が肩を並べて行進し、フードデリバリーの自転車が隊列を組んで走っていった。宗教的少数派、抑圧されてきた少数民族、そしてLGBTQ(性的少数者)コミュニティーなど、長年疎外されてきた人々が怒りの抗議活動に参加した。若い女性たちもデモの先頭に立った。

クーデターに対する拒絶と、アウン・サン・スー・チー氏の釈放を求めて始まった抗議活動は、一気に全国に広がった。スー・チー氏は、ミャンマーの少数派イスラム教徒であるロヒンギャの虐殺を非難しなかったことで、国際的な評価を低下させていた。

軍と警察は非武装のデモ参加者を銃撃し始めた。人権団体によると3月18日現在、224人の死亡が確認され、2258人が拘束されている。英紙「ガーディアン」は、拘束された活動家が拷問ののち処刑されたと報じている。

人々は、小規模なフラッシュモブ形式の抗議活動や夜間の座り込み抗議をすることで、血まみれの取り締まりに適応していった。

ナショナル ジオグラフィックは、弾圧に抗議する人々の声を紹介することにした。掲載した写真はそれぞれ、抗議者の肖像に抗議活動の1シーンを重ねている。人々は自らの言葉で、なぜこの国の歴史のこの一瞬に命を懸けているのかを語った。彼らの安全のため、職業と年齢のみを記載した。同様の理由で、記事の執筆にあたったジャーナリストたちの名前も伏せてある。

ある活動家は、ナショナル ジオグラフィックの取材に対し、「私はまだ、勝利への希望を持っています」と語った。「勝たなければ、おしまいです。私たちの未来はなくなってしまう」

映像プロデューサー、30歳

「私は良い仕事に就いていました。家族の将来に大きな夢を持っていました。私には幼い2人の娘がいます。娘たちが私の人生の最優先事項です。クーデターによってすべてが崩壊してしまいました。娘たちには軍事独裁のもとで育ってほしくありません」

「妻も私と一緒に抗議に来ています。共にテロリストと戦っているのです。私たちは軍隊をそう呼んでいます。彼らは兵士ではない。普通の兵士のように、私たちを守ってくれたりはしません。むしろ、私たちを殺そうとするのです。財産を破壊し、『頭をぶち抜くぞ!』と暴力的なことを叫ぶのです。これから、もっと暴力的になることが予想されます。彼らはとても残酷です。もちろん、怖いです」

「これからもっと悪くなる。みんながそう言っています。私たちの家を襲い、女性たちをレイプし、さらに多くの人を殺すでしょう。私たちは武器を持っていません。彼らがすべての銃を持っています。しかし、私たちには若者がいます。どの家にも若い人がいます。1年くらいは非暴力でいられると思います。その後は内戦になってしまうでしょう。大虐殺です」

退職した男性、63歳

「私はこの国で何度も軍事的な弾圧を受けてきました。活動家としてこれまでのすべての革命に参加してきました。たくさんのストライキを行い、たくさんの抗議行動を行いました。そのすべてにおいて、私たちは敗北しました。私は身を隠さなければなりませんでした。4年間、投獄されました。家族全員が投獄されたのです。このような状況にほとほと疲れました。私はただ静かな生活をしたかったのです」

「今回は、より大きな革命だと感じています。もう政治の問題ではなく、指導者や政党の問題でもありません。これはファシズムへの抵抗なのです。今、私たちはかつてないほど団結しています。すぐにでも500人を集めることができます。私たちはお互いを守りあっています。隣人が隣人を見守っているのです。私の心は今、自分が住んでいる地元にあります。この撮影が終わったら、戻らなければなりません。そこで必要とされているのです」

人権活動家、27歳

「私は他のLGBTQの女性たちと一緒に、大使館前で抗議活動をしました。米国大使館の前では、『ミャンマーを助けて。支援して』と唱えました。みんなで似たスカートをはいて、服に『クーデター、くたばれ』と書きました。ロシア大使館の前ではロシアを非難しました。中国大使館の前では、『私の父は中国人ですが、私は中国政府がミャンマー軍に武器を供給することに反対します』と書いたポスターを掲げました。中国の大使もロシアの大使も、出てきて私たちに会ってくれることはありませんでした」

芸術家・作家、41歳

「芸術は人を動かします。ここミャンマーにはその長い伝統があります。抗議の芸術の歴史です。王国の都、マンダレーの詩人たちは、何百年も前に専制政治に反対する韻を踏んでいました。彼らは抑圧を厳しい寒さにたとえました。私たちはその伝統を活用することができます。芸術は人々の精神に強い影響を与えます。それは恐怖に対抗する手段でもあります。たとえ催涙ガスで目が焼かれていても、芸術家はそれをしなければならないのです」

通訳、37歳

「この国には、障害者に対する差別が多いんです。私は6、7年間、仕事がありませんでした。その後、ようやく好きな仕事に就くことができました。なのに、クーデターが起きてしまいました。会社は閉鎖されました。だから、私は抗議活動をしています。他の障害者たちと参加しています」

「タムウェ区では、ある朝、警察と兵士がやってきて、学生たちに向かっていきなり銃を撃ち始めました。G3ライフルの実弾を使っていました。私の隣にいた若い学生が腕を撃たれました。私はその場から彼を運び出しました。私は体が大きいから、運べたんです(笑)。警察は怖くないです。生まれたからには、いずれ死ぬんです。私は民主主義のためにやっているんです」

会社勤務の女性、32歳

「私の母はいつも、1988年に軍への大規模な反乱が起きた時の苦難について話しています。私を妊娠して4カ月の頃のことでした。母は飢えていました。母とおじは、列車の切符を持たずに故郷のミッチーナーに逃げようとしたそうです。お金がなかったからです。5日間、故障した列車の中で生活しながら逃げていたと言います。彼らは死に直面していました。母は、私が同じ目に遭うかもしれないと言います。『前回の革命の時は、私のおなかの中にいて生き延びたけど、これからは自分で何とかしなさい』と言われました」

会社勤務の男性・LGBTQ活動家、30歳

「外で抗議活動をしていたら、警察が催涙弾を投げつけてきました。近くの家の人がドアを開けて、私を招き入れてくれました。しばらくすると、警察がさらに前進してきました。もっと多くの催涙弾と、音爆弾を投げてきました。家の中は煙で覆われて、よく見えませんでした。警察が私のすぐ近くまで来て、至近距離で彼らが見えました。家の人は私に『静かに』と言いました。後日、警察が来て、催涙弾と音爆弾の空の容器を回収していきました。彼らが発射した使用済みの薬きょうも持ち去っていきました」

「怖いのではなく、怒っています。もし怖いとしたら、自分をコントロールできずに、警察官を傷つけてしまうのではないかと思うからです。だから、自制心を養っています。彼らに危害を加えたいという思いが常に湧いてきますが、『落ち着け』と自分に言い聞かせます。全国民が一致団結してこそ、軍事独裁者を根絶することができます。私はこの目標からそれたくありません」

リサーチコンサルタント、28歳

「私はラカイン州の少数民族出身です。生まれてからずっと差別を受けてきました。小学校4年生くらいから、自分は人と違うとわかっていました。先生は教室で私だけをたたきました。私は自分のことを、とても、とても小さく感じていました。ここまでの人生でずっと、ミャンマー社会の主流から見放されていると感じてきました。だからこそ、この革命はトータルなものでなければならないんです。以前と同じ状態に戻ることはできません。少数民族に真の力を与えるような、新しい連邦制度が必要です。そのために私は抗議しています。これはチャンスなんです。まるで、久しぶりに呼吸をしているかのような気分です」

労働運動家、35歳

「私は今、妊娠しています。街を歩くと疲れきってしまいます。でも、家にはいたくないんです。フェイスブックで抗議活動の投稿を見ると、家にいることに罪悪感を覚えるんです」

「デモ参加者の多くがアウン・サン・スー・チー氏の即時解放を求めているのは事実です。でも、彼女が解放されればそれでいいのでしょうか? 私たちは政治的目標を共有しているかもしれませんが、問題はもっと大きなものです。この国の古い権威主義的なシステムです。少数民族の権利や、多数派であるビルマ族の排外主義の問題を含め、さまざまなことを考える必要があります」

「クーデターが起こる前、友人たちは私の年齢を考えて、子供を持つことを勧めました。最初は、赤ちゃんを産むということをうれしく、また誇りに思っていました。でも、今はよくわかりません。この国で起こっていることを考えると、子供が生まれてくることを歓迎できないのです。未来があまりにも不確かです」

(文・写真 ナショナル ジオグラフィック、訳 桜木敬子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2021年3月24日付の記事を再構成]

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