2021/4/1

――コロナ下で屋内遊び場「キドキド」の運営は難しいのでは。

「人数制限や時間短縮、頻繁な除菌などで対応していますが(営業面では)厳しい状況です。ただ、社員の発案で(屋内外の遊び場で親子の遊びを促す)『プレイリーダー』の出張を始めたところ、保育園・幼稚園などにニーズがあることがわかりました。お客さまが来てくれるのを待っているだけではなく、こちらから外に出て行って、遊びのノウハウを継続的に提供していくことが必要だと気づきました。ちょっと遅かった感じもしますけど」

――親子一緒の時間が増え、育児ストレスを訴える声もあります。何かアドバイスはありますか。

「子どもが親にまとわりつく時代は7、8年で、それは親子にとってかけがえのない、ものすごく貴重な時間だと思うんですね。私は(2女の育児で)早く大きくなれ、早く自立してほしいと考えていましたが、今になって大反省しているわけです。もっと大事に過ごさなきゃいけなかったと」

「私は夫が猛烈サラリーマンで、午前2時ごろにお客さんを連れて帰ってくることが多く、そっちも結構たいへんでした。それで午後9時くらいに子どもたちが寝てから夫が帰るまでを自分の時間と決めて、趣味などに没頭しました。ストレスをためないようにしていたんだと思います」

中西さんは遊び場に必要な条件のひとつに「一過性でないこと」をあげる(2021年2月、東京・渋谷)

――遊びや学習でデジタル機器の利用が広がっています。懸念はありませんか。

「コンピューターの発達は当然で、上手につきあっていかなければいけないものじゃないかと思います。自分の子ども時代はどうだったとか言っても仕方ない。5歳の孫はすでにスマホやタブレットに触れ、ユーチューブを見る生活をしているわけですね」

「かつて米国で目にして、日本人もまねしなければと思ったことがあります。2、3歳の子にもコンピューターを触らせるんですが、同時に知育玩具で遊ばせたり、休日に自然の中に連れ出して親子で楽しんだりしていたんですね。やはり大人が上手にバランスをとってやることが大事だと思います」

――少子化に悩む自治体が公園や屋内遊び場を整備する事例が増えています。遊び場に必要な条件とは何でしょうか。

「いろいろな遊びを体験できること、多世代が交流できること、そして一過性でなく、くり返しのめり込んで楽しめること。遊び道具も、それを手にした子どもがどんな喜びを感じ、何を学べるのか、そういうアイデアがデザインにちりばめられていることが重要だと思います」

「当社も行政と仕事をする機会がとても増えているんですが、その流れはコロナ下でも止まっていないんですね。自分たちの町や村を過ごしやすくするため、遊び場を変えようという動きは全国で起きています」

(聞き手 天野豊文 撮影 北山哲也)

中西弘子(なかにし・ひろこ)
1945年大阪府生まれ。65年帝塚山学院短期大学卒。夫・将之さん(現会長)が81年に設立したボーネルンドの経営に参画し、94年に社長就任。輸入玩具を中心としたショップ販売に続き、2004年から屋内遊び場「キドキド」を展開。全国の自治体の遊び場整備のほか、病院・店舗の子ども向けスペースの企画にも携わっている。11年の東日本大震災では原発事故のあった福島県で屋内施設づくりに協力した。
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