コロナ下の制約、子どもは最小限に 成長に遊び不可欠ボーネルンド社長 中西弘子さん

2021/4/1
「あそぶことは生きること」を掲げるボーネルンドの中西弘子社長(2021年2月、東京・渋谷)
「あそぶことは生きること」を掲げるボーネルンドの中西弘子社長(2021年2月、東京・渋谷)

新型コロナウイルスの感染拡大は、心身の成長期にある次世代にも多くの制約をもたらした。とくに、仲間と自由に遊ぶ機会が減ったことを懸念しているのが、ボーネルンド(東京・渋谷)の中西弘子社長(75)だ。輸入玩具や屋内遊び場を通じ、遊ぶことの大切さを説き続けてきた中西さんに、親世代を含めて意識すべきことを聞いた。

「肥満した」「発散できず暴れる」

――コロナ禍は次世代にどんな影響をもたらしていますか。

「ちょうど1年前、小中高の一斉休校があったときに、これが続いたら絶対にダメだと感じました。体力低下など悪影響が出ることは予測できたんですね。実際に子どもが『肥満した』『思うように体が動かせなくなった』『発散できず暴れる』といった声が、お客さまや学校の先生から聞こえてくるようになりました。子どもの健全な成長には遊びが不可欠なんだと改めて感じています」

「(恒例行事や旅行など)体験の機会が失われていることも大きい。あれは楽しかったとか、忘れられないといった思い出は、それぞれの年齢でありますよね。(成長の節目を祝う)卒業式や入学式のように、それをやめたらいけないということも、いくつかあると思うんです。そのときしか得られない体験の記憶は、将来にわたって大事なものではないでしょうか」

――学校の課外活動などが制約されることについてはどう思われますか。

「あくまで個人的な意見ですが、少しやり過ぎだと思っています。取引先のある海外の状況を調べたり、専門家に問い合わせたりしていますが、子どもの重症化リスクが大きいとは言えません。むしろ体の成長や仲間づくりで遊びが一番大切なときに、それを規制してしまうリスクが気になります」

――コロナ下で売れたもの、売れにくくなったものというのはありますか。

コロナ下で売れたというジャングルジム機能を備えたドイツ製の「クアドロ」(3万7400円~)

「家のベランダやお風呂で水遊びができる水路や、あちこち組み替えができる小さなジャングルジムのような商品は、高い価格の商品なのに結構売れました。外での体験を家の中でもと、親御さんが考えてくれたのかなと思います。逆にかなり人気だった木琴の売れ行きが鈍りました。在宅されている近所に気をつかうこともあると思いますが、祖父母が孫のためにと買うケースが多かった商品なので、なかなか会う機会がないことが影響しているのかなと想像しています」