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(写真/Shutterstock)

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コロナ禍で日常生活や働き方が激変し、「これまで通りの生き方で本当にいいのか」と悩んでいる人も多いのではないだろうか。ニューノーマルは見たことのない世界ではなく、「デジタル化」「多様性」「環境意識」といった後回しにしてきた問題が目の前に突き付けられただけ――。JR東日本などでエキナカや地域活性化を成功させてきた鎌田由美子氏(ONE・GLOCAL代表取締役)が、「『 What if?』という自問自答が必要」「仕事と生き方は融合」「サステナブルが日常に」など、アフターコロナの世界での個人や企業の「生き方」を提示するのが、『「よそもの」が日本を変える』(日経BP)だ。

仕事と私生活は対立軸ではない

ONE・GLOCAL代表取締役の鎌田由美子氏

ONE・GLOCAL代表取締役の鎌田由美子氏

本書の中でも、ビジネスの第一線で活躍し続けてきた鎌田氏の仕事観が色濃く表れているのが、第2章の「仕事と生き方は融合」。2007年に内閣府が「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」を発表し、日本でもワーク(仕事)とライフ(私生活)のバランスを取る考え方が示され、広まっていった。それに対し、鎌田氏は「仕事と私生活は必ずしも対立軸ではないのでは」と思い続けてきたという。

「人生トータルでのワークライフバランスはあっても、常にバランスを考えながら仕事はできないと感じていたからです。仕事もライフイベントも計画通りにはいきません。子供を産んだ直後は子育て中心の生活にならざるを得ませんし、家庭に何かが起こればそちらに比重は傾きます。仕事も相手やタイミングというものが必ずあります。常にバランスを取ろうとして仕事を調整すれば、チャンスを見過ごすことにもつながります。ですから、バランスにとらわれることなく、その時々で常に全力で目の前のことに取り組むべきだと感じていました」(『「よそもの」が日本を変える』より)

そんな鎌田氏が自分の理想により近いと感じたのが、08年に経済同友会が提言した「ワーク&ライフインテグレーション」(以下、ワークライフインテグレーション)だった。これは仕事も私生活も人生の一部であり、仕事が充実しているときには私生活も充実するといった具合に、双方がリンクし合うことで相乗効果を生み、人生の充実感や幸福感を得るという考え方。特に「そもそも仕事と私生活、職場と家庭は二者択一のものなのか、優先順位が付けられるものなのか」という課題意識が自分の中でストンと腹落ちしたという。

「キャリアをどうしよう」より「どう生きたいか」

テレワークが普及し、余暇と仕事を組み合わせるワーケーションや副業を認める企業が増えている。しかし、テレワークやワーケーションなどによって働く場だけを変えてもワークライフインテグレーションになるわけではないという。場を移しただけでは、逆に生活の中の用事や環境の変化で仕事の効率が悪くなり、それがストレスにもなることもある。ワークライフインテグレーションを実現するには、生活全体を変える必要があるのだ。

コロナ禍で世界が一気に変化した20年、多くの人が「会社(仕事)中心」という従来の価値基準と正面から向き合うことを余儀なくされた。それによって、多くの選択肢が見えるようになる人と、選択肢がより一層狭められてしまったと感じる人の二極化が進むと鎌田氏は予測。そのうえで、「『キャリアをどうしよう』と考えるのではなく、もっとシンプルに『どう生きたいか』を考えてみては。どう生きたいかに沿って『自分のできること』を考えると、自然に時間や仕事のバランスが見えてきます」とアドバイスする。

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