都心のビジネスパーソンが「地域」を変える

さらに、アフターコロナの世界では古くからあるものづくりや文化に恵まれた「地域」に大きな可能性があり、そのカギとなるのが「よそもの」だという。テレワークの普及や副業解禁で都心のビジネスパーソンが「よそもの」として地域のものづくりやビジネスに参画し、マーケティングやマネジメントの知見を持ち込むことでシン・チホウ(新・地方)が生まれるというのだ。本書では鎌田氏が地域の1次産業の可能性に目覚めたきっかけとなった青森のシードル工房「A-FACTORY」をはじめ、鹿児島の超高級リゾート「天空の森」、「小さくて強い農業」を提唱する茨城の「久松農園」、英国南西部ウェールズにある古書を観光資源にした町「ヘイ・オン・ワイ」などの事例を紹介している。

「ONLY,OR」から「AND,WITH」の時代へ

「私自身も『よそもの』として生きてきた」という体験談も読み応え十分。民営化直後の文系女性1期生としてJR東日本に入社し、鉄道事業を経験せずにエキナカや地域活性化プロジェクトなどの新規事業を次々に立ち上げた。49歳で上級執行役員としてカルビーにヘッドハンティングされるも、「好き」という気持ちが先に立って失敗した経験も。極めつきは50代半ばでの起業と、英国美術系大学院への留学。デジタルネーティブ世代に交じり、あらゆることがオンライン化された手続きや「生き物の動きをロボットで表現する」授業などに四苦八苦した。これらの経験を通じ、現代は二者択一の「ONLY,OR」ではなく、やりたいことをいくつも選べる「AND,WITH」の時代だから、勇気を持って一歩踏み出すことを提案する。

(日経クロストレンド 山下奉仁)

鎌田由美子
ONE・GLOCAL代表取締役/クリエイティブディレクター。1989年JR東日本入社。2001年エキナカ事業を手掛け、05年「ecute」を運営するJR東日本ステーションリテイリング社長。その後、本社事業創造本部で地域再発見PTを立ち上げ、青森「A-FACTORY」や「のもの」などで地産品の販路拡大や農産品の加工に取り組む。15年カルビー上級執行役員。19年、魅力ある素材の発掘や加工を通じ、地域デザインの視点から地元との共創事業に取り組むべく、「ONE・GLOCAL」を起業。20年4月までロンドンのRCA(Royal College of Art)に留学。社外取締役や国、行政、NHKなど各種委員、いばらき大使など地域にも深く関わる。

「よそもの」が日本を変える

著者 : 鎌田由美子
出版 : 日経BP
価格 : 1,870 円(税込み)

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