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被災地で見た社会人たちのバスケ 挫折しても上を向く

震災10年・離れて今(10)茨城県 大友隆太郎さん

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NIKKEI STYLE

東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故から10年。少年少女時代に被災し、現在は進学・就職などで地元を離れている若者たちは今、故郷にどんな思いを抱いているのか。「震災10年・離れて今」第10回(最終回)は、茨城県北茨城市出身のバスケットボール選手、大友隆太郎(おおとも・りゅうたろう)さん(26)にオンラインで聞いた。

筑波大学、プロバスケBリーグの茨城ロボッツ(2部)を経て、オリンピック種目の3x3(スリー・エックス・スリー=3人制バスケ)に挑戦。東京五輪代表の夢は破れたが、Bリーグ復帰へ現在は滋賀レイクスターズ(1部)の練習生として汗を流す。震災直後の苦しい状況下、助け合いながらバスケを楽しむ大人たちの姿が、いつも背中を押している。

――晴れた海岸を写した「故郷の1枚」。場所はどちらですか。

「よく釣りに行った地元の大津漁港です。小さいときから自然が好きで、自然にふれあえる趣味として自己流で始めたのが釣りでした。釣りは素人の父(功一さん)を僕が連れ出していたんです。震災で堤防の位置がズレたり、原発事故が影響したり、近づけなかった時期もありました。写真は今年2月に父が撮影したものです」

「海を見ながらぼけーっとしている時間が僕は好きなんです。受験やバスケなどのことで、思い悩んだりイライラしたりしているとき、リフレッシュできました。中学時代、勉強に疲れた夜、父に頼んで夜釣りに行った思い出もあります」

寒くて暗い夜に見た星空

――県立水戸第一高校(水戸市)1年生だった2011年3月11日の地震発生時、どちらにいましたか。

「授業中で教室にいました。突然ガタガタッときて、地震がきたと思っているうちに急に大きく揺れて、これはおかしいと。校舎の壁が割れ、校庭に出ると地割れができていました。道路は信号が止まって大渋滞で、だれかの携帯のワンセグに宮城県の津波の映像が流れていたのを覚えています。すごくカオスの状況で、泣き崩れている子もいました。現実とは思えない感じでしたね」

「僕を含め歩いて帰宅するのが難しい生徒は校内に1泊しました。電気も水道も止まり、深夜に先生たちがお菓子とジュースを届けてくれるまで食料もありませんでした。家族とも連絡はとれません。そんなときなのに、夜空を見たら星がめちゃめちゃきれいだったんですよ。こんなきれいな星空はもう見られないと思うくらい。不謹慎かもしれないけど、それに救われた部分がありました。ちょっと散歩しながら、みんなで『きれいだな』って」

――茨城県は津波が襲った日立市や北茨城市など沿岸部を中心に67人の死者・行方不明者(関連死含む)が出ました。北茨城市の自宅は大丈夫でしたか。

「僕の家に津波被害はなく家族も無事でしたが、知り合いには家を流されたり、亡くなったりした方がいます。そうした被害が『東北のために祈ろう』などの表現で、なかったことのように扱われたくないんですね。津波といえば東北のイメージが強いと思いますが、被害に県境があるわけではないので、茨城県なども、ものすごい津波に襲われたことは多くの人に知ってほしいとは思っています。津波が起きたら県境に関係なく広い範囲が危なくなることを知ることは、防災の観点からも大事だと思います」

――高校バスケ部ではなく地元の社会人チームに参加していたそうですが、大人たちはどんな様子でしたか。

「社会人の人たちが、つらい時期でも必死に時間をつくってバスケをしている姿を見て、スポーツってこういうものだよなと、すごく思いました。いつも使う体育館が被災したチームがあったら、こっちの体育館で一緒に練習しようよ、と。いろんなチームが集まって、バスケって楽しい、これでまたあしたの仕事を頑張ろう、みたいな感じでした」

「僕もいろんな体育館を転々としながら、週5でバスケをしていました。電車ではバスケのボールとシューズを手にした(約190センチの身長がある)デカい人と(他の乗客に)覚えられていたみたいです」

――筑波大学(茨城県つくば市)に一般受験で進学。故郷の北茨城を離れるとき、どんなことを感じましたか。

「両親への感謝を感じました。そして、絶対にバスケで成功してやろうという気持ちで家を出たのを覚えています。プロになりたい思いがありましたから」

「筑波大を選んだのは、関東の1部リーグ所属で一般学生も必ず入れる男子バスケットボール部があったからです。そこで1年生の夏にAチーム(1軍)に選んでもらえました。人生で初めてバスケで評価された瞬間なんですよ。部活ではなく、違った試行錯誤をしてきたポテンシャルを買われた部分が大きかったんですけど」

――チームは4年間で3度の大学日本一。トップチームでの経験はご自身に何をもたらしましたか。

「挫折ですね。あまり出場機会を勝ち取れなかったことの挫折。そして、そこで心が折れながらも最終的に上を向く力。自分より圧倒的に才能がある選手を目の当たりにしましたが、それでも自分がうまくなる過程やサイクルそのものはすごく楽しくて。バスケは僕にとっての自己表現であり、自分らしさを感じさせてくれるものだと思ってます」

「夢はNBA」の自分がいた場所

――プロでのプレーや五輪代表をめざした経験を経て、現在は滋賀レイクスターズの練習生。直近の目標は。

「Bリーグ復帰です。そして試合に出て、3x3で培ったいいものを見せて、数字を残したい。もちろん3x3で24年パリ五輪をめざすことも考えています」

――遠く離れた滋賀県での生活。故郷のためにも頑張るという意識はありますか。

「僕はそういうことは考えないです。僕は僕のために必死にやります。もしそれが地元の方々の目にとまって、こいつ頑張ってるなくらいに思ってくれたらいいなとは思っています」

――故郷は他の土地と何が違いますか。

「心の感じ方が違うんです。自分の原体験が集まっている場所で、その思い出がよみがえってくる。そして、当時の気持ちを抱えたままちゃんと生きてるかって、再確認させてくれる場所かもしれないですね」

「バスケを楽しむ父をみて小3で自分も始めたころは、純粋にバスケが好きで、うまくなりたいとしか考えていなかったと思うんです。笑われるかもしれないけど『将来の夢は(米プロバスケットボール)NBA』って書けるほどの無敵状態。現実の壁にぶち当たって挫折を感じても、その思いを持ち続ける選手がどんどん上に行っている感じがするんですよね。自分にブレーキをかけてしまわないためにも、すごく大事な気持ち。それを(故郷は)思い返させてくれるんです」

(聞き手は天野豊文)

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