耳を傾けるには二人称の質問から始める

回答を改善する方法とは、主語に着目することです。

良くない回答例では一人称単数での話に終始して、最後はYES/NOでしか答えられない問いかけで終わっています。結果としてやらされ感を高める会話になってしまう。

しかし面談などの場での会話は、結果として部下のやる気を高めたり、行動を改善したりする効果がなくてはいけません。そのためのあるべき回答とは、例えば次のようなものです。

「なるほど。プロジェクトの作業量が多いということなんだけれども、具体的にどんな作業に時間がかかってるの?」
 「終電まで働くと大変だよね。体調はどんな感じ?」
 「家族に迷惑をかけてしまっていると感じるのはつらいよね。家族からはこうしてほしい、という話は聞いている?」

これらはすべて二人称での問いかけです。

私が経営するセレクションアンドバリエーションでは、フィードバック面談手法についての研修を行っています。その際に「上司の意見を示さないように」と伝えても、「じゃあどう指導すればいいんですか」と不満の声が出ることがあります。

そんなとき「二人称で話すように心がけてみてください。それだけで変わりますから」とお伝えしています。

そしてさらにもう一つ付け加えています。

それは、断定をやめて質問にすることです。

二人称を使うだけだと、たとえば「君の仕事が遅いからだ」とか「家族にちゃんと言い聞かせろ」などの否定的な回答になることもあるからです。しかし質問にすれば、否定的な側面を減らさざるを得ません。

また、なるべくYES/NOで答えられるようなものではなく、考えて答えなければいけないような問いかけの方が望ましいのです。そうして会話のバトンを相手に渡せば、自然と相手は自分で考え、自分の意思を高め、行動につなげていくようになるのです。

リーダーになるには一人称よりも二人称を使いこなす

面談の場での上司としては、一人称より二人称を使いこなす方が望ましい。

では普段の会話ではどうでしょうか。

もしあなたがチームを率いるリーダーになりたいのなら、普段の会話でも一人称を減らして二人称を増やすように心がけてみてください。

一人称を使っているとき、会話の目的語も自分になりがちです。しかしビジネスの場における一人称は、自分自身の優秀さや成果を知らしめて、相手に認めてもらうための会話を生み出しがちです。

けれども、ビジネスでの成果とはチームで生み出すものです。そのとき、二人称を多用してゆけば相手が目的語になるだけでなく、やがてチーム全体が目的語になり、全員で成果を生み出せるようになってゆきます。

リーダーを目指す人は、ぜひ二人称を使いこなしてください。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。

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