愛称「タモさん」。自他共に認める、スニーカーおたく。メルカリ上級執行役員で国内を統括するメルカリジャパンCEO(最高経営責任者)の田面木(たものき)宏尚さんの仕事の相棒は、いつもスニーカーだ。東京のストリートカルチャーへの憧れから夢中になり、日々フリーマーケットアプリでレアものを探したり、専門店を定点観測したり。その魅力はうんちくを披露できるコミュニケーションにあるといい、愛好家の社員とディテールを語り合うのが楽しみだと話す。これまで2度のスニーカーブームを体験し、探し当て、所有できた喜びが、個人間でモノを取引するフリマビジネスとシンクロする。(この記事の〈下〉は「黒T、かばんはポーター一択 メルカリ田面木氏の仕事服」)
――仕事でもよくはいている「ヘビロテ」の3足がこちら。コンバースばかりですね。
「黒コンバースが最近のお気に入りで、出社するときも黒コンバースです。まずチャックテイラーCT70。黒に見えるダークネイビーで1970年代のチャックテイラー(オールスター)を復刻したものです。真ん中は僕が大好きなブランド、Nハリ(N.HOOLYWOOD)とコンバースのコラボモデルでコンバース・アディクトシリーズという最近のもの。そして最後がアンダーカバー×コンバース。いま履いているのはワンスターローファーです。この中で希少なのはCT70です。28センチがなかなか見つからず、メルカリのライバルである、スニーカー取引サービスで買ってしまいました(笑い)」
「裏原」に恋い焦がれた学生時代
――まさにスニーカー・アディクト(中毒)。相当なマニアなうえ、ファッション好きだそうですが、学生時代の原体験といえば?
「僕は秋田出身で18歳まで秋田にいたのですが、東京に強烈に憧れて青春時代を過ごしました。90年代はインターネットがまだ限られた人のもので、ファッション情報はsmart(スマート)などの雑誌から得ていました。ストリートスナップを眺め、アベイシングエイプやアンダーカバーなどのブランドを知り、裏原(裏原宿)のファッションやカルチャーに恋い焦がれ、行きたいな、という思いが募りました。1回だけ東京に行くチャンスがあり、どきどきしながら買い物をした記憶があります。1万円で何を買おうか。考えぬいてポール・スミスのTシャツを買いました。6000円か、高いなあ、と思いながら擦り切れるまで着ていましたね。10代でショックを受けた裏原文化の体験が39歳になった今でも色濃く残っているんです」

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