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生活に生かそうという動きも

新型コロナウイルス禍で大勢の来館者を集めにくい中、各地の博物館による工夫を凝らした情報発信も日本中にファンが増えている一因だ。

「わぁ、重い!」。子供が必死に“国宝”を持ち上げる。新潟県にある十日町市博物館は所蔵する国宝の火焔型土器と大きさ、重さ、質感がそっくりのレプリカを作った。新型コロナの感染防止対策を施して触れるようにした。

山梨県笛吹市にある釈迦堂遺跡博物館は昨年、リニューアルオープン。所蔵する1116個の土偶すべてを展示、その量が来館客を圧倒する。

男性のシンボルを象った石棒を約1300本所蔵する岐阜県の飛騨みやがわ考古民俗館は昨年5月、双方向オンラインツアーを開催。1年で30日しか開館しない、知る人ぞ知る博物館だが全国から約200人が参加した。「インターネットで興味を持ってくれたら本物を見たくなるはず」(飛騨市教育委員会学芸員の三好清超さん)と期待する。

縄文人気は続くのだろうか? 文化人類学が専門の九州大学大学院教授、古谷嘉章さんは「縄文を生活に生かそうという動きがある」と、持続性を指摘する。

その一つがファッションだ。デザイナーの山本寛斎さんが亡くなるまで各地の縄文遺跡を訪れ研究していたほか、俳優の井浦新さんがディレクターを務めるブランドで、縄文をモチーフにしたアイテムが登場。昨年11月、青森市の小牧野遺跡保存活用協議会が販売した遮光器土偶をイメージしたニット帽は受け付け開始1分で完売した。

古谷さんはこれらの動きを「縄文ルネサンス」と表現する。西洋のルネサンスが近代の出発点とみられるように、縄文がもっと生活に入ってくるのかもしれない。

そのとき私たちが縄文に感じるのは癒やしか、ワクワクか。気づいたときには、あなたも縄文の虜(とりこ)になっているかもしれない。

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データの無償提供広がる

山梨デザインアーカイブで公開されている縄文模様のデータを使ったハンカチとマスキングテープ

縄文の遺物を計測したデータを公開して無償で使ってもらう動きが広がる。山梨デザインアーカイブは県に伝わる物品の図形や模様を提供。中でも無限に続くパターンに加工した土器の文様は関心が高い。

全国75市町村が参加する「縄文文化発信サポーターズ」は火焔土器の3Dデータを公開する。このデータをもとに、個人が3Dプリンターで作ったソフトクリーム入れがネットで話題になった。飛騨市の石棒は20本の計測データが公開されている。ボランティア団体の石棒クラブの活動で、将来は全石棒に広げたいと意欲を見せる。アイデア次第でユニークな商品が生まれるかもしれない。

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