答えと解説 

正解は、(2)低音部から聞こえにくくなる です。

目がグルグル回るような、回転性のめまいを伴うことで知られる「メニエール病」。耳が詰まるような圧迫感から始まり、難聴や耳鳴り、めまいなどの発作を繰り返す病気です。

耳の中は、入口にあたる外耳道から、その奥に鼓膜、さらに向こうに中耳、内耳と続いています(図1)。内耳の内リンパ腔という場所はリンパ液で満たされているのですが、メニエール病ではそれが増えすぎて「内リンパ水腫」を起こし、めまいや難聴などの症状を生じると考えられています。

図1 耳の構造

メニエール病の症状は、耳の奥にある「内耳」にリンパ液がたまりすぎることで現れると考えられている。原図(C)designua-123RF

「内耳には、蝸牛(かぎゅう)という音を感じる器官があり、ここに水腫ができて最初に現れやすい症状が、耳が詰まったような圧迫感、耳閉塞感です。次第に、低音部から中音部にかけて聞こえにくくなる難聴や耳鳴りなど、聞こえに関する症状も出てきます。これらは蝸牛症状と呼ばれ、その段階でとどまるものを蝸牛型メニエール病といいます。多くの場合はさらに進行し、目が回るような回転性めまいの発作を伴うようになり、本格的なメニエール病へと進んでいきます」。北里大学医学部教授・同大学東病院神経耳科科長の長沼英明氏はそう説明します。

メニエール病は、「20分以上続く回転性めまいを今までに2回以上繰り返している」ことと、「低音部の聴力低下の検査所見がある」ことによって診断されます[注1]。「ただし、回転性のめまいを伴わない場合も、蝸牛型メニエール病だろうと想定して治療を開始するのが最近の傾向です。それは、間違いなく、早く治療を始めるほうがその後の経過がいいからです。悪化してから治療するより、診断基準に至る手前の段階、予備軍のうちに治療を始めたほうが、本格的なメニエール病にならずに済む可能性が高くなります」と長沼氏は話します。

[注1]メニエール病の診断基準は国内外で多少異なりますが、今回は米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会(AAO-HNS)の基準に沿って解説しています。ちなみに日本めまい平衡医学会は、めまいの持続時間に関して、「10分程度から数時間程度」としています。

水分を積極的にとり、ストレスを減らす 運動は水泳がお勧め

メニエール病は女性に多く見られ、発症には精神的・肉体的ストレスも関係すると考えられています。治療には利尿薬のイソソルビド(商品名イソバイドほか)などが用いられますが、めまい発作を完全に抑える特効薬は現時点ではありません。

「薬物治療以上に私がお勧めしたいのは、水分をとる、ストレスを減らすなど、生活習慣を改善することです」と長沼氏は話します。メニエール病ではかつて、水分の摂取量を減らすことが推奨されていましたが、現在は、水分は積極的にとる方向に変わってきています。長沼氏は、メニエール病の患者に対して、食事とは別に、塩分・糖分やカフェインを含まない水分(水や麦茶など)をたくさん摂取する「水分摂取療法」を指導し、良好な治療成績を上げています。「運動としては、水泳や水中歩行が非常に有効です。水につかる運動であれば、水圧で心臓に血液が戻りやすくなり、内耳の血流が改善できる作用も期待できます」(長沼氏)。

こうした生活改善に取り組み、ストレスの少ない生活を継続できれば、完全な治癒には至らなくても、状態を安定させることは可能です。

この記事は、 「『メニエール病』のめまいや耳の症状を改善する水分摂取療法とは?」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100023/012900075/(田中美香=医療ジャーナリスト)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年3月1日付記事を再構成]

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