低価格で話題Chromebook Windowsノートとの違いは

日経PC21

低価格ノートパソコンとして「クロームブック(Chromebook)」が注目を集めているが、ウィンドウズ(Windows)ノートの代わりとなり得るのか疑問を抱いている人も多いだろう。その疑問を解消すべく、使い勝手などについて検証した。まずはウィンドウズノートとの違いなど、基本的なことから見ていこう。

クロームブックは見た目も中身のハードウエアも基本的にウィンドウズノートと変わらない。大きく違うのは、搭載されているOS(基本ソフト)がウィンドウズ10(Windows10)ではなく、グーグルが開発した「クロームOS(Chrome OS)」であるという点だ(図1)。

図1 クロームブックはグーグルの「クロームOS 」を搭載したパソコン。一般的なクラムシェルタイプのほかにタブレットとしても使えるコンバーチブルタイプもあるなど、見た目はウィンドウズノートと変わらない。一般的にウィンドウズノートより低価格で起動が速く、動作が快適であるといった特徴がある

クロームOSはウェブブラウザーの「クローム(Chrome)」をベースに、主にウェブアプリの使用を前提に開発された。ウィンドウズ10と比べ非常に軽く、CPU(中央演算処理装置)、メモリーなどのハードウエアスペックが比較的低くても快適に動作する点が特徴だ。

図2はクロームブックとウィンドウズノートの主な違いをまとめたもの。実際、タブレットなどに使用されるARM系CPUを搭載する製品も多く、メモリーも4ギガが主流だ。データはクラウド保存が基本となるので、ストレージ容量も32ギガや64ギガと小さい製品が多い。そのため快適に動作する製品が3万円くらいから入手可能だ。低価格かつ快適に動作することがクロームブックの最大の魅力といえる。

図2 クロームブックとウィンドウズノートの比較。クロームブックに搭載されているクロームOSは、ウェブブラウザーのグーグルクロームをベースに、ウェブアプリの使用をメインとして開発されているため軽快なことが特徴。CPU やメモリーのスペックはウィンドウズノートよりも低くてよい。またデータもクラウドに保存することが基本となるためストレージ容量も小さくてよい。そのため、クロームブックはウィンドウズノートに比べると一般的に低価格で入手しやすい

オンライン使用が基本だがオフラインでも使用できる

クロームブックの使い方は、グーグルが無償で提供している文書作成アプリ「グーグルドキュメント」などをクローム(ブラウザー)で利用し、データはクラウドの「グーグルドライブ」に保存するというのが基本(図3)。そのほか、クローム(ブラウザー)に対応したウェブアプリやプレイストアアプリなども利用できる。

図3 文書作成アプリ「ドキュメント」、表計算アプリ「スプレッドシート」、プレゼン資料作成アプリ「スライド」など、グーグルの無償アプリをクロームブラウザーで使うというのが基本的な使い方。データはクラウドのグーグルドライブに保存。データを編集する際はグーグルドライブから読み出す。クロームブックではグーグルのウェブアプリのほか、プレイストアアプリなども使用できる

グーグルドキュメントなどの各種グーグルアプリはプリインストールされており、オフラインでも使用可能(図4)。設定が必要となるが、グーグルドライブのデータをオフラインで使用することもできる(図5)。プレイストアから入手できるアプリにも、オフラインで動作するものは多い。

図4クロームOSでは各種アプリがプリインストールされており、データをローカルに保存しておけばインターネットに接続していない状態でも文書作成や表計算、音楽再生、動作再生などを行える
図5 グーグルドライブの設定でオフラインの項目にチェックを入れると、ドキュメントやスプレッドシートなどで作成したファイルがローカルにも保存されるようになる。オフラインで編集した内容はオンラインになると自動で同期される

アンドロイドタブレットと比べると、クロームブックがパソコンとして開発されている点が大きく違う。スマホの延長線上にあるアンドロイドタブレットに対して図6のような優位点がある。

図6 アンドロイドタブレットがスマホの延長線上にあるのに対し、クロームブックはパソコンとして開発されている点が一番大きな違い。マルチウインドウに対応しており、キーボードやマウスで快適な操作が可能など、ウィンドウズパソコンとほぼ変わらない感覚で使用できる。クロームブラウザーがウィンドウズパソコンやMacで使用されるデスクトップ版であることも特徴。SNS(交流サイト)や広告ブロックなどの機能を追加できる拡張機能にも対応している

(ライター 滝伸次)

[日経PC21 2021年5月号掲載記事を再構成]