学童保育、コロナ禍で存在感 小3では4人に1人利用

東京都練馬区の石神井西小学童クラブは感染対策を講じてコロナ期間中も開所した(3月23日)
東京都練馬区の石神井西小学童クラブは感染対策を講じてコロナ期間中も開所した(3月23日)

主に小学1~3年の児童を預かる放課後児童クラブ(学童保育、以下学童)の存在感が高まっています。厚生労働省によると2020年の登録児童数は約131万人と10年前から6割増。小3では4人に1人が利用しています。共働き家庭が増えニーズが増す一方、現場の人手不足など課題も抱えています。

新型コロナウイルスの感染拡大で、20年は学童にとっても激動の一年となりました。3月に全国で学校が一斉休校になると、厚労省は学童に対して「原則開所」を要請しました。親が家にいられない児童の居場所確保が狙いで、ほぼすべての学童が応じました。通常、学童は午後から開所しますが、厚労省の調べでは、午前中から開所した自治体も全体の7割に達しました。工学院大で子ども支援を研究する安部芳絵准教授は「学童がなくてはならない存在だと明らかになった」とその間の役割を評価しています。

一方、4月からの緊急事態宣言発出後は状況が変わり、感染防止のために利用者を絞る自治体が目立ちました。東京都世田谷区は4~5月、学童への受けいれを医療や交通などの仕事につく家庭に限りました。この間、登録児童に占める利用率は5~10%程度まで下がり、制限を解除した6月以降も利用率は例年より低い50~60%にとどまっています。同区児童課は「感染を気にする保護者の不安などが背景にある」とします。

学童はニーズの増大に施設や人材が追いついていない面もあります。厚労省は1カ所当たりの受け入れ児童数を「おおむね40人以下」とする基準を設けていますが、登録数が40人を超える学童は36%に達します。第一生命経済研究所の稲垣円主任研究員は「大規模化した施設では3密回避のために十分な広さを確保できないケースもあるようだ」と話しています。

児童に接する指導員の高齢化も進んでいます。全国学童保育連絡協議会(東京・文京)による15年の調査では50歳以上の指導員が57%を占めました。また同協議会の18年の調査では年収200万円未満の指導員が全体の63%でした。佐藤愛子事務局次長は「不安定な待遇も若い人が指導員になりにくい要因」と指摘しています。

国も指導員の待遇を改善した自治体に補助金を出す措置を設けていますが、利用する自治体は一部にとどまっています。一方、コロナ禍で奮闘した学童を支援するため、札幌市や仙台市は職員1人当たり5万円の給付金を配りました。工学院大の安部准教授は「学童への力の注ぎ方は、その自治体がどれだけ子どもを大切にしているかの指標にもなる」と話しています。

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安部芳絵・工学院大学准教授「学童はおまけではない」
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