店イチ押しのつまみ「鰻の蒲(がま)の穂焼き」

まずは、うな串。店イチ押しの「鰻(うなぎ)の蒲(がま)の穂焼き」(390円、税別、以下同)をいく。見かけは、ウナギを丸ごと筒切りにしたもののようだが、背骨を含めて骨はキレイに取ってあり、そのままカブリつくことができる。「門外不出」の製法だそうだ。蒸してサッパリした白焼きと違い、油のうま味を感じる。振りかけてある塩とのバランスがいい。焼き鳥と比べると、確かに価格は高めだが、満足度は高い。

続いて、タレ焼きを切って串に刺した「短冊」(290円)や、その白焼き版である「白短冊」(290円)を注文しようと考えたが、面白そうな串を見つけた。「鰻バター」(350円)、「鰻ハニーブルーチーズ」(350円)。正直、思った。「なんだ、こりゃ?」。

内心、不安を抱えながら、2品とも頼む。まず登場したのは「鰻バター」。タレ焼きを短冊にして串に刺した上に糸のように絞り出したバターがふわっと乗っている。しかも、ウナギの熱でどんどん溶けていく。脂っこいウナギにさらにバターをのせるって、普通に考えるとおかしいけれど、食べるとこれが悪くない。短冊自体完成された商品だが、そこにバターをかけるとバターの持つ香りと塩っ気が加わり、全体を壊さない。ラーメンの世界でいう「マシマシ」な感覚だ。

「鰻バター」(右)と「鰻ハニーブルーチーズ」(左)

もっと面白かったのが、「鰻ハニーブルーチーズ」だ。商品名を裏切らない外観。白焼き短冊にブルーチーズが乗り、全体にハチミツがかけてある。味を想像してもしょうがない。覚悟して口に入れる。

これが大当たり。ブルーチーズのコクと塩っ気にハチミツの甘さが加わる。白焼き自体があっさりしているのに対し、ブルーチーズとハチミツが「タレ」のような効果を生んでいる。ウナギ店で白焼きを頼むと、しょうゆとワサビが定番だが、通(つう)ぶって食べても味が単調で、実はあまり量は食べられない。途中で飽きてしまうのだ。だが、この食べ方は飽きない。何よりも酒に合う。

うな串をチビチビ食べながら、飲み干した生ビールの次を物色する。この店、アルコールもなかなか工夫がある。

食べ合わせが悪いという民間伝承に挑戦する(?)「蜂蜜 梅レモンサワー」

最初に注文したのは、「蜂蜜 梅レモンサワー」(490円)。知らない方も多いかもしれないが、「ウナギと梅干しは食べ合わせが悪い」という民間伝承がある。「う福」が面白いのは、それにあえて異を唱え、ウナギに合う梅関連ドリンクを提案して、その意図をわざわざメニューブックでうたっていたりする。脂分を酸味で流すということは、肉に赤ワインという組み合わせと同じで、理論的にはあっている気もする。ちなみに「蜂蜜・梅レモンサワー」は、酸っぱさより甘さが勝つ感じだった。