検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

ポルシェ・パナメーラ ターボS 仰天パワーで最速記録

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

webCG

大幅改良を受けた「ポルシェ・パナメーラ」のラインアップの中から、最高出力630PSの4リッターV8ターボエンジンを搭載した「ターボS」に試乗。ニュルブルクリンク北コースで"エグゼクティブカー"の最速タイムを記録したという、その実力の一端に触れた。

エンジンの改良に目が奪われるものの

2代目パナメーラが世界初公開されたのが2016年6月のことだったから、昨2020年8月に発表されたマイナーチェンジはデビューからほぼ丸4年でのテコ入れで、国内でも即座に予約注文受け付けが開始された。同年10月には、8月時に欠けていた最上級モデル「ターボS Eハイブリッド」と、中間モデルの「4 Eハイブリッド」も追加。年末の国内デリバリー開始時点で、日本仕様のパナメーラは全8種類のラインアップとなった。

今回連れ出したのは、価格・動力性能ともにターボS Eハイブリッドに次ぐ2番手となるターボSである。ポルシェでターボSといえば、素の「ターボ」ありきの上級版というのが従来の位置づけだが、新しいパナメーラに素のターボは存在しない。今回の「S」が意味するところは、マイチェン前にあったターボと比較して80PS/50N・mという大幅性能アップが図られたところにある。それを強調するがための、あえての名称変更のようだ。

というわけで、今回のマイチェンの主眼は上級モデルの動力性能向上である。このターボSや今回新たに追加された「4S Eハイブリッド」はその象徴ともいえるし、これまでと名称が変わらない「GTS」やターボS Eハイブリッドについても、エンジン出力(あるいはシステム出力)が上乗せとなっている。

これ以外には、数字やスペックなどで目に見える変更点は少ない。かろうじて気づくのは、内外装細部のブラッシュアップやコネクト機能の強化くらいだろうか。走行メカニズムの新機軸も今回はとくにないのだが、目に見えない中身の部分はかなり改良されている。

考えてみれば、現在の「MSB」プラットホームを採用したフロントエンジンポルシェでは、2016年デビューのパナメーラがもっとも古い。その後の「カイエン」や「カイエン クーペ」「タイカン」で登場した新技術や最新世代コンポーネントの多くが、マイチェンを機にパナメーラにも投入されている。また四輪操舵(そうだ)システムも、「911」やタイカンで得られた知見が生かされているとか。

1000万円の価格差も納得?

ただ、最高出力630PS、最大トルク820N・mと、ともに初めて"大台"に乗せた改良型4リッターV8ツインターボが世に出るのは、今回のパナメーラが初となる。その性能向上幅が従来のターボと比較して80PS/50N・mという飛躍的なものであることは前記のとおりだが、それは単に過給圧をイジッただけではない。実際には圧縮比(10.1→9.7)やタービンレイアウト、インジェクションの変更に加え、クランクシャフトにコンロッド、ピストン、タイミングチェーン、クランクダンパーといった大物部品も新設計されており、それらを踏まえてあらためてバランスが最適化されているという。つまりブロックとヘッド、そして動弁系まわり以外はすべて新しいのだ。

ターボSの本体価格(2882万円)を、基本ハードウエアの構成では大差ないGTSのそれ(1949万円)と比較すると、目が飛び出るほど高額に思えることは事実である。ただし、同じ4リッターV8ツインターボでも、今回の改良型はGTSには搭載されない。それに加えて、カイエンやタイカンに続いて48V化(によってその制御はさらに速く精密になる)されたアクティブスタビライザーの「PDCCスポーツ」やトルクベクタリング機構の「PTVプラス」、そしてカーボンコンポジットディスクブレーキの「PCCB」、21インチタイヤなどといったGTSでのオプションが、ターボSでは標準装備となる。

こうしたもろもろを勘案すれば、その1000万円近い価格差も「内容からすれば妥当かな」と思えてしまうのは、パナメーラ ターボSの"にわかオーナー体験"を、都合5日間にもわたって味わわせていただいたせいだろうか。こうして乗る人間の金銭感覚まで狂わせてしまうのも、ポルシェマジック……なのかもしれない。

流すぶんには快適至極

ファンならすでにご承知だろうが、新しいパナメーラ ターボSは発表直前の2020年7月24日に、聖地ニュルブルクリンク北コースのタイムアタックを敢行した。シートやロールケージなどの安全装備以外では、タイヤをオプションの「ミシュラン・パイロットスポーツ カップ2」に履き替えただけのターボSは、マイチェン前ターボのタイムを13秒短縮する7分29秒81を記録。それは同コースの"エグゼクティブカー"クラスの公式最速タイムとして認定されたという。

そんなターボSだが、走り慣れた都内の市街地や首都高速をドライブモードを「ノーマル」にして走るかぎり、"ニュル最速"というゴリゴリの称号とは、ある意味で正反対の味わいだ。エアバネと連続可変ダンパーは低中速ではフワリと柔らかく、そのストローク感重視の調律は某フランス車の「ハイドロ~」を思わせるほどである。今回の試乗車は、この新しいパナメーラでポルシェの認証が出たばかりという新パターンの「パイロットスポーツ4 S」を履いていたが、その突き上げもあくまでマイルドだ。

ただ、柔らかく上下するのにロールやピッチング方向の動きは明確に抑制されていて、クルマ全体の剛性感が異例なほどガチっとしている点に、ニュル最速というか、ポルシェならではのオーラがいや応なく突きつけられる。また、低速では動きすぎに思えたフットワークが、郊外の高速道路に踏み入れ、車速が100km/hに近づくにつれて確実に引き締まっていくあたりの味つけも、じつに巧妙である。

もっとも、パナメーラではノーマルのひとつ上にして、3種あるドライブモードの中間にあたる「スポーツ」のほうが、明らかに守備範囲が広い。路面からのアタリこそノーマルよりわずかに強くなるものの、クルマ全体の上下動は少なくなり、ノーマルでは収束までに2~3回上下した目地段差も、スポーツは一発で仕留める。また、ノーマルでは反応が遅れがちとなる山坂道でも、スポーツならドンピシャ。そのフラットな乗り心地をノーマルより快適と感じる向きも少なくないはずで、実質的には、これがターボSの標準といっていい。

「スポーツプラス」モードこそ真の姿

しかし、ステアリングホイールのダイヤルで最上の「スポーツプラス」を選択すると、いよいよ"ニュル最速"の横顔が垣間見えるようになる。

スポーツプラスにした瞬間にV8ツインターボはアイドリング回転が高まり、オプションの「スポーツエキゾーストシステム」が全開放となるのか、サウンドもいきなり不穏になる。そして、スロットルオフでのアンチラグ音はさらに盛大になり、アシは明確に引き締まって、ターンインはスポーツモードより鋭くなり、一気にクルマが軽くなる。

さきに「スポーツモードがタイトな山坂道でドンピシャ」と書いたが、スピードが乗る高速コーナーでターボS本来の速さ(の片りん)を味わおうとすると、とたんに物足りなくなる。全性能の数割を引き出しただけでも、もはやスポーツでも追いつかない。やはりターボS本来の姿はスポーツプラスなのだろう。

ノーマルからスポーツに切り替えたときに少し重くなったパワステが、スポーツプラスにしても変わらない……か、体感的にはより軽くなるところに、逆にこのクルマのモード設定の本気度がうかがえる。ステアリングは重いほうが、なるほど"気分"は高まるだろう。しかし、本当に繊細な操作をしたいなら、あくまできっちりとしたフィードバックが確保されることが前提だが、操作力そのものは軽ければ軽いほどいい。実際、スポーツプラスで走るターボSのステアリングは、ほどほどに軽いのに小さな角度での操作もピタリと決まり、正確で接地感も濃厚である。これは本物だ。

スキール音に物理法則を思い出す

4000rpm前後から本格的にパワーを供出しはじめる改良型V8ツインターボのスイートスポットは5000-6500rpmあたりだ(リミットは6800rpm)。この領域では排気音とアンチラグ音がいよいよ響きわたり、まるで背中を蹴り飛ばされたかのように加速して、そのGは血の気が引くほどだ。

また、ドライブモードを回して設定するダイヤル中央の「スポーツレスポンスボタン」を押すと、「エンジンとトランスミッションが20秒のタイマーコントロールで最大レスポンスに設定」(取扱説明書より)されるという「スポーツレスポンス」モードが起動する。これは最近のレースカーが空力でやっているオーバーテイク機能をパワートレインで再現するようなものだが、少なくとも公道では無用の長物である。ターボSは右足に軽く力をこめるだけで、周囲の時間が止まったかのように加速するからだ。

そうやって走るパナメーラ ターボSのフロントウインドーを流れる景色は、倍速コマ送りのごとし……なのだが、そのいっぽうで乗っている人間のストレスはさほどではない。というのも、少なくともドライ路面で走るパナメーラが、そのトンデモなパワーとトルクを完全に受け止めて御しきっているからである。少なくとも私ごときの度胸と体力で到達しうる程度の走行ペースでは、パナメーラそのものにはなにも起こらない。車体に無粋な振動が伝わることもなければ、アクセルペダルを踏み込んだところで走行ラインはピタリと乱れず、望んだ方向に突進していくだけだ。

ただ、いかに地をはうような低重心とはいえ、2.2tという巨体を820N・mで蹴り上げられるのは、物理的にはハンパでない所業なのは否定できない。そのシワ寄せはご想像のとおり、タイヤに集中する。コツ要らずで超速の操縦安定性にかまけて走っていると、姿勢は安定したままなのに、タイヤだけが悲鳴を上げる。その瞬間にわれにかえって、自分の移動速度にあらためて気づかされる。世界最速のエグゼクティブカーは、そんなクルマである。

(ライター 佐野弘宗)

テスト車のデータ


ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5049×1937×1427mm
ホイールベース:2950mm
車重:2190kg(車検証記載値)
駆動方式:4WD
エンジン:4リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:630PS(463kW)/6000rpm
最大トルク:820Nm(83.6kgm)/2300-4500rpm
タイヤ:(前)275/35ZR21 103Y XL/(後)325/30ZR21 108Y XL(ミシュラン・パイロットスポーツ4 S)
燃費:10.8-10.7リッター/100km(約9.3km/リッター、欧州複合モード)
価格:2882万円/テスト車=3340万2000円
オプション装備:ツートーンレザーインテリア<ブラック/クレヨン>スムーズレザー仕上げ(11万9000円)/スポーツエキゾーストシステム<シルバーカラースポーツテールパイプを含む>(51万3000円)/カラークレストホイールセンターキャップ(2万7000円)/パノラマルーフシステム(35万1000円)/8wayリアコンフォートシート<メモリーパッケージ>(34万3000円)/マッサージ機能/シートベンチレーション<フロントおよびリア>(70万1000円)/プライバシーガラス(8万7000円)/カップホルダーカバー<フロント>(0円)/カーボンインテリアパッケージ(14万3000円)/Exclusiveデザインセレクターレバー(13万7000円)/カーボンドアシルガード<発光式>(18万9000円)/マトリクスLEDヘッドライト<PDLSプラスを含む>(17万7000円)/4ゾーンクライメートコントロール(21万6000円)/スモーカーパッケージ(1万5000円)/ナイトアシスト(42万6000円)/ブルメスター ハイエンド3Dサラウンドサウンドシステム(88万8000円)/ソフトクローズドア(12万1000円)/アンビエントライト<リアコンパートメントライティングパッケージを含む>(12万9000円)

[webCG 2021年3月20日の記事を再構成]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_