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ローマ教皇、初のイラク訪問 現地キリスト教徒の希望

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

2021年3月、ローマ教皇フランシスコがイラク訪問を果たした。歴代のローマ教皇で初となる訪問は、イラクのキリスト教徒たちにどう映ったのか。取材にあたった写真家モイセス・サマン氏が語る。

◇    ◇    ◇

イスラム教徒が99%を占めるイラクにおいて、北部のカラコシュはキリスト教徒が多数を占める町だ。16年に私が訪れたとき、町には生活を感じさせるものが何一つなかった。イラク軍とその同盟国がモスルを奪還する過程で、過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員から町を解放したばかり。残されていたのは落書き、がれき、腐りかけの食べ物だけで、ISの民兵、そして地元住民もすでに立ち去っていた。生き延びたい一心で逃げたことが伝わってきた。

21年3月最初の週末、私は再びカラコシュを訪れた。ローマ教皇フランシスコの歴史的なイラク訪問を撮影するためだ。かつて空っぽだった通りでは、色とりどりの風船が揺れる。建物や壁は白く塗り替えられ、輝いているように見える。教皇を一目見ようと大勢のキリスト教徒が集まり、イラクとバチカンの国旗を振っている。

ある商人は活気に満ちた青空市場で果物を売りながら、「教皇が毎年来てくれたら最高ですね!」と冗談を言った。

20年近く前にイラクでの取材を開始してからというもの、私は、この国とここに暮らす人々が紛争によって深く傷ついていく姿を目の当たりにしてきた。今回、教皇の訪問を追跡取材しながら、これまでにない希望と受容を見いだしたと感じている。パンデミック(世界的大流行)や安全上の懸念など、さまざまな障害があったにもかかわらず、あれほど高名な人物がイラクにやって来たことは、あらゆる信仰を持つ人々にとってのターニングポイントだと感じた。

教皇がイラクを訪問したのはこれが初めてだ。ただ、これまでバチカンが努力しなかったわけではない。先々代のヨハネ・パウロ2世も先代のベネディクト16世もイラク訪問を試みたが、イラク国内の紛争や戦争のため実現しなかった。そのため、19年7月にイラクのバルハム・サレハ大統領から招待状を受け取ったとき、教皇は快諾した。パンデミックを理由に国外への渡航を15カ月中断した後、教皇は最初の目的地としてイラクを選択した。

しかし、イラク訪問は危うく実現しないところだった。84歳の教皇は1月にワクチン接種を受けているが、教皇のイベントに参加した人々の間でウイルスが拡大するのではないかと多くの人が心配したためだ。イラクは20年9月、新型コロナウイルスの感染者数がピークに達したが、現在再び最悪の状態に陥っている。安全上の懸念も尽きなかった。教皇が到着するわずか数日前にも首都バグダッドで爆破事件が起きている。イベント会場や通路はバチカンの警備員、イラク軍、地元警察によって厳重に取り囲まれた。

教皇、聖人、そしてイスラム世界

私はカトリック教徒として育ったが、信心深いとは言えない。もちろん、教皇フランシスコのことは知っているし、民衆の味方だという評判も聞いていた。アルゼンチン、ブエノスアイレスの聖職者だった時代の教皇は、地下鉄に乗り、スラム街の信者たちと交流することでも知られていた。「貧しい教会、貧しい人々のための教会をどれほど望んでいることか!」と発言したこともある。

 フランシスコは「アッシジの聖フランシスコ」にちなむ名前を選んだ初めての教皇だ。アッシジの聖フランシスコは貧しい人々の擁護者であり、イスラム世界との架け橋としても知られる聖人だ。

米サンディエゴ教区の修道女であるシスター・キャスリーン・ウォレンは「(アッシジの聖フランシスコは)私たちが普遍的親族関係と呼ぶ驚くべき直感の持ち主でした。つまり、すべての人と兄弟愛で結ばれていたということです。それが聖フランシスコの人生の礎でありメッセージでした。教皇フランシスコはそのことを完全に理解しています」と説明する。「(教皇フランシスコは)聖フランシスコが800年前にエジプトのイスラム教徒に伝えたものとよく似た深いメッセージを発信したのです」

21年3月6日、教皇はナジャフに赴き、イスラム教シーア派の指導者である大アーヤトッラーのアリー・シスタニ氏と会談した。隠とん生活を好み、外国人とはめったに会わない人物だ。会談後、教皇は都市遺跡ウルで説教を行い、かつてアブラハムが暮らしたと広く信じられている平原を見下ろしながら、団結について語った。アブラハムはキリスト教、イスラム教、ユダヤ教で同じように重視されている人物だ。

「それでも友愛を守りたいのであれば、天国を見失ってはいけません。アブラハムの子孫であると同時に、異なる宗教の代表である私たちが、何よりもこの役割を担っていると感じられますように。兄弟姉妹が目と祈りを天国に向けられるよう手助けすることこそが私たちの役割です」とフランシスコは語り掛けた。

帰郷

教皇がイラクに到着する直前、私はカラコシュのキリスト教コミュニティーで数日を過ごした。そして、キリスト教徒たちは町を再建することで、イラクにおける居場所を主張しているのだと気付いた。

町外れの小さな丘で、マリ・サレブ氏という修道士に会った。レバノンで15年暮らした後、小さな修道院を修復するために戻ってきたという。平屋建ての建物には電気すらなく、小さな礼拝堂に数脚の椅子が置かれているだけだが、サレブ氏はこの建物を祈りの場所として復活させると決意している。いつかキリスト教徒がピクニックできる場所をつくりたいと考え、サレブ氏は建物の周りに木も植えている。

3月8日、フランシスコはローマに戻り、イラクから持ち帰った花束をサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の聖母マリアにささげた。そして、バチカンの自宅で休息を取った。

次ページでは、イラクのキリスト教徒たちの歓迎ぶりをはじめ、ローマ教皇のイラク訪問を写真でご覧いただきたい。

(文・写真 MOISES SAMAN、編集 SYDNEY COMBS、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2021年3月18日付の記事を再構成]

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