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映像のプロ向けも登場 個性的すぎる5Gスマホ4機種

佐野正弘のモバイル最前線

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NIKKEI STYLE

昨年末から携帯電話の料金プランの動向に高い関心が寄せられている。しかしその裏で、春の新シーズンに向け、高速通信規格「5G」対応のスマートフォンの新製品が相次ぎ投入されている。日本で5Gサービスが始まってから1年が経過したこともあり、非常にユニークな機能を持つ製品や、先進性を感じさせる製品など、強烈な個性を持った5Gスマホが増えている。そうした「尖った(とがった)」5Gスマホをみていこう。

映像のプロ向けに特化した「Xperia PRO」

まず紹介するのは、ソニーが2021年2月10日に発売した、5G対応SIMフリースマホの最新モデル「Xperia PRO」だ。この製品は機能や性能は同社のフラッグシップモデル「Xperia 1 II」とほとんど変わらないが、公式オンラインストアでの販売価格は税込み24万9800円と2倍以上する。名前の通り「プロ仕様」で、具体的には映像のプロの利用に特化したことが高額の理由だ。

Xperia PROの最大の特徴はHDMI端子を搭載している点。一眼レフカメラなどを接続して映像を撮影する際の外部モニターとして活用できる。ソニーは映像撮影の現場で利用されているプロ用のマスターモニターに強みを持つことから、その技術を生かしてスマホを外部モニターとして活用する仕組みを実現した。

もう一つのポイントは、5G通信の中で特に高速な「ミリ波」の電波に対応していることだ。カメラで撮影した大容量の映像データを直接サーバーに送る「超高速モデム」としてスマホを利用できる。Xperia PROはそのミリ波を最大限活用できるよう、ボディーに電波を通しやすい樹脂素材を採用したり、ミリ波の受信状況が分かるアプリを標準で搭載したりするなどの工夫を施している。こうした点からも一般ユーザー向けのスマホとは一線を画す存在であることが分かるだろう。

大画面がコンパクトになる折り畳みスマホ「razr 5G」

次は中国レノボ・グループ傘下のモトローラ・モビリティ・ジャパンが投入した5G対応スマホ「motorola razr 5G」だ。SIMフリーモデルのほか、ソフトバンクも21年3月26日から販売している。価格はSIMフリーモデルが税込み17万9799円、ソフトバンクが同19万8000円(いずれも公式オンラインストアでの販売価格)とこちらも非常に高価だ。

高価な理由は一目見れば理解できるだろう。razr 5Gはディスプレーを直接折り畳めるスマホなのだ。縦横比21対9の6.2インチという大画面の有機ELディスプレーを半分に折り畳んでコンパクトに持ち歩けるのが最大の特徴となっている。

さらにrazr 5Gは折り畳んだ状態でさまざまな使い方ができる。背面に2.7インチの「クイックビューディスプレイ」を搭載しており、折り畳んだ状態で通知を確認できるだけでなく文字入力も可能。ショートメッセージサービス(SMS)やLINEのメッセージが届いたときなどに、本体を閉じたまま直接返信できる。

クイックビューディスプレイにアプリのショートカットを置いておけば、さまざまなアプリを折り畳んだまま直接起動できる。クイックビューディスプレイからメールアプリを起動してメールをチェックし、より詳しい内容を見たいと思ったら本体を開いて大画面で確認する、といった使い方も可能だ。

モトローラはかつて、世界的に大ヒットした折り畳み式の携帯電話「RAZR」シリーズで一世を風靡(ふうび)した。razr 5GはそのRAZRのコンセプトを取り入れたスマホで、デザイン面でもRAZRを意識している点が多い。

RAZRシリーズはかつて日本でも販売されていた。ディスプレーが折り畳めるという先進性に加えて、懐かしさを感じる人もいるだろう。値段的に許せるならば、ぜひ使ってみたいスマホといえる。

強じんボディーの「TORQUE 5G」はアウトドアに最適

もう1台、他の追随を許さない個性を備えたスマホが、KDDIがauブランドで21年3月26日に発売した、京セラ製の「TORQUE 5G」である。アウトドアでの利用に適した高耐久のタフネス・スマホ「TORQUE」シリーズの5Gに対応した最新モデルだ。公式オンラインストアでの販売価格は税込み8万8885円だ。

前モデルの「TORQUE G04」から約2年ぶりの新製品投入となる。大きく変わった点の一つは大画面化。5.0インチから5.5インチへと画面を大きくしながらも、2メートルの高さから落としても壊れにくいなど強じんさはいっそう増している。

加えてハンドソープで洗浄できたり、アルコール除菌シートで拭ける耐薬品性能を備えるなど、コロナ禍の事情に合わせて進化を遂げている。さまざまな意味で安心して使えるスマホに仕上がっている。

アウトドアシーンをより楽しめるよう、カメラ機能も充実させた。メインカメラとフロントカメラの映像を同時に記録する「マルチカメラ」機能や、カメラボタンを押したときだけ動画を記録する「プッシュムービー」機能などを新たに追加した。動画撮影時に地図などの情報を同時に記録できる「Action Overlay(アクションオーバーレイ)」機能も搭載し、自転車のセンサーやスマートウオッチから取得した情報を重ねて撮影できる。

最近はキャンプ人気で、アウトドアが趣味という人も増えている。アウトドアでも安心して利用できるTORQUE 5Gは、そうした人たちにお薦めできるスマホである。

FeliCa対応ながら2万円強の「Redmi Note 9T」

最後に紹介するのは、ソフトバンクが「ソフトバンク」ブランドで21年2月26日より独占販売している、中国小米(シャオミ)製の「Redmi Note 9T」だ。

同製品の最大の特徴は、なんと言ってもその安さ。ソフトバンクの公式オンラインストアでの販売価格は税込みで2万1600円。5Gスマホとしては「激安」なのだ。

それでいて、機能・性能はミドルクラス製品として必要にして十分だ。6.53インチの大画面ディスプレーや5000mAh(ミリアンペア時)のバッテリー、トリプルカメラを搭載する。中国メーカー製の端末としては珍しくFeliCaを搭載し、「おサイフケータイ」などが利用できるなど国内向けのカスタマイズも加えられている。

実はRedmi Note 9Tの海外での販売価格はもっと高い。日本でこれだけ安く販売されているのには、国内での知名度を高めたいシャオミと、5Gの普及を促したいソフトバンクの思惑が大きく影響しているといえよう。

◇    ◇    ◇

ここまで紹介した4機種のほかにも、各社からさまざまなスマホ新製品が登場している。多彩な魅力を持つスマホ新製品にぜひ注目してほしい。

佐野正弘
 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

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