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各組四役そろい踏みの図(学校提供)

各組四役そろい踏みの図(学校提供)

進学校の駒場東邦中学校・高等学校は体育祭を通じて「縦」のつながりを学ぶ。色分けされた各組が本気で優勝を狙う、緊張感すら漂う学校行事が体育祭だ。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏がその背景にある駒東の精神を探った。

◇  ◇  ◇

6年間同じ色組で体育祭を戦う

駒場東邦に入学すると中1の時点で体育教師から、赤、白、青、黄のいずれかの色を言い渡される。これが一生「自分の色」になる。体育祭の「色組」である。

男子校あるいは共学校のほとんどでは、各学年を縦割りにしてそれぞれのチームに色を割り振り、対抗戦が行われる。ただし、自分が何色に属するかは、クラス替えによって毎年変わる。最も一般的な体育祭(あるいは運動会、以下、体育祭)の形式だろう。しかし駒場東邦の場合、中1で割り振られた色に6年間所属する。中1で「赤」と言われれば、6年間毎年「赤」として戦う。これは珍しいしくみだ。

「○期生」というのが学年をつなぐ横のアイデンティティーだとするならば、体育祭の「色組」は1958年の第1回体育祭から脈々と受け継がれる縦のアイデンティティーとなる。卒業してからも、「○期×色組」が駒場東邦生としてのわかりやすいカテゴリーとなる。ちなみに運動会で有名な開成の場合、高2から高3にかけてはクラス替えがないので最後の2年間は同じ色になり、それが卒業後もついて回る。

ほかにも毎年同じ「色」で体育祭を戦う学校がほかにも複数あるにはある。いくつかの伝統ある女子校だ。ただし駒場東邦の色分けとはしくみが違う。女子校の場合、学年ごとに色が決められ、体育祭を学年対抗で戦う。つまり体育祭の色はすなわち学年の色でもあり、中高一貫校であれば、6年おきに同じ色になる。この形式では毎年ほぼ高3が優勝する。しかし女子校では、勝敗よりもチームワークをどれだけ高められたかが生徒たちの満足感につながるらしいのだ。

駒場東邦での色組は、体育科の教員が身長や体重などを考慮して機械的に割り振る。しかしそれによって駒場東邦生としての一生のアイデンティティーが決まるのだから生徒にとっては重大だ。現時点での色別の優勝回数は、赤=21、白=7、青=13、黄=22。白に割り振られた新入生はジンクスを覆す重責を担ったと思ってほしい。

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