「10方針」はいまでも守られている。「科学教育に力を入れ、物理・化学の実験は1クラスを二分する」というように、中1~2では、理科の第1分野(物理・化学)を週2コマ、第2分野(生物・地学)を週2コマ、さらに「実験」という授業を週1コマ実施する。「実験」に関しては、40人のクラスを20人ずつに二分して、隔週で第1分野と第2分野の実験を行うしくみ。

日々たくさんの実験が行われるため、学校の中に実験室が9あり、光学顕微鏡・双眼実体顕微鏡・偏光顕微鏡の3種類それぞれが1人に1台ずつ用意されているし、物理部・化学部・生物部・地学部と分野ごとにクラブがある。理科好きにはたまらない学習環境だ。進学先における理系と文系の割合はせいぜい3対2程度だが、文系の生徒でも理科の一通りの分野を学ぶ。

たとえば中1ではブタの丸々一頭分の全内臓を取り寄せ、解剖する。世の中の旬な話題を授業に生かし、たとえば魚の内臓や食卓塩からマイクロプラスチックを取り出したり、新型コロナウイルスのPCR検査と同様の理屈でDNAバンドを調べたりもする。

「いまは学校としてそこまで理科に特化した教育をしている雰囲気はありませんが、理科が好きな生徒が多いので、実験授業がとてもやりやすいです。しかも少人数だから、どんな教科書にも載っている定番の実験だけでなく、臨機応変にさまざまな実験に挑戦できます」と理科主任で博士(環境学)の石原修一さんは言う。

言われたのとは違う方法で解剖する生徒

生魚を素手で触りたくない生徒もいるが

実験室では中2がワカサギの解剖実験を行っていた。例年だと2人1組でアジを解剖するのだが、新型コロナ感染拡大予防の観点から、なるべく共同作業を避けるため、1人に1匹ずつワカサギが配られた。ところどころから「おいしそー」という声が漏れる。

解剖を始める前に、まずはワカサギのヒレの形を約10分間でスケッチする。それが終わると、担当教員の山崎登志子さんが実際に解剖の手順を見せる。肛門から腹を割き、エラから消化器官までをまとめて抜き取り、バットの上に広げる。ときどき「キモッ!」という声が漏れる。それをスケッチするところまでがこの日の課題だ。

先生が示したとおりに手際よく内臓を抜き取る生徒もいれば、あえて先生とは違うやり方で腹を割き、内臓が身体の中に収まっているそのままの状態を観察する生徒もいる。ある生徒は「先生手袋ないですか?」と尋ねる。素手で生魚に触りたくないのだそうだ。よく見てみると、約20人いる生徒のうち3~4人は生魚を触れないようで、ピンセットでワカサギを押さえながら腹を割いている。当然難儀するのでブーブー言っていた。

「そもそも生魚を触ったことがない生徒もいるわけですよね。生活実感が乏しいのは現代っ子に共通の課題ですね」とは教頭の堤裕史さん。

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