理科好き男子の楽園 駒場東邦は毎週実験で生徒鍛える駒場東邦中学校・高等学校(上)

中2のワカサギの解剖実験

駒場東邦中学校・高等学校は東京大学に60人前後を送り込む男子進学校だ。医師が設立した東邦大学が設置した経緯もあって、理科実験に力を入れている。授業での実験風景を教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏がリポートする。

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分割での理科実験が開校当初からの伝統

東京都世田谷区にある駒場東邦中学校・高等学校は東邦大学が設置した学校だ。千葉県習志野市にある東邦大学付属東邦中学校・高等学校の弟分にあたる。東邦大学は日本初の女性のための医学校として、額田豊と額田晋という医師の兄弟によって1925年に設立されたもの。NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」のモデルと言われ、当初の校名を帝国女子医学専門学校といった。

額田豊は胃潰瘍で危篤に陥った夏目漱石を救ったことで有名になった医師とされる。晋は医者嫌いで有名だった森鴎外がその最期においてみとり役に指名した医師という。医師でありながら独特の死生観をもっていた晋は「宗教的人生観」に対して「科学的人生観」という概念を打ち立て、宗教的アプローチからも科学的アプローチからも同じ人生の悦びに到達できると説いた。

第2次世界大戦後、帝国女子医学専門学校は東邦大学に改名し、52年に東邦大学付属東邦高等学校、57年に東邦大学付属駒場東邦中学校・高等学校を相次いで設立した。駒場東邦設立時の東邦大学理事長は額田豊。初代校長として、日比谷高校のカリスマ校長であった菊地龍道に白羽の矢が立った。東京大学への圧倒的な進学実績を出していた日比谷高校のノウハウをそのまま引っ張ってきたわけである。

建学当初の「10方針」には、「大学進学を目標とし、男子校とすること」「中高一貫教育を行うこと」「科学教育に力を入れ、物理・化学の実験は1クラスを二分する」「英語と数学は1クラスを二分する」「全人教育の立場から、躾(しつけ)と道義の教育を重視し、非行化と不良化を防止すること」「私立学校に対する一般評価は甚だ良くない。従って、世評を裏切るにたる立派な学校を作ること」などが掲げられていた。

1期生で京大に1人、2期生で東大に2人の合格者を出し、7期生で早くも東大合格者を2桁に乗せた。1971年に高校からの募集を停止、完全中高一貫校化するとさらに進学実績が伸びた。創立から20年で東大28人、30年で49人、40年で55人を成し遂げた。2020年の東大合格者は63人である。

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