「現代アートだと、例えばポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルの版画などは最初『これが芸術なのか?』と言われたりしましたが、価値が認められて高い値段で売買されています。今では現代アートは大きな市場になっていますよね」

体験してお金を払ってもらう仕組みを目指す

「これまでのアート界は芸術品を買って所有してもらうビジネスモデルでした。チームラボはアートを買うのでなく、体験してお金を払ってもらう仕組みを目指しているんです。新型コロナウイルスの影響が出る前ですが、東京・台場の『チームラボボーダレス』と東京・豊洲の『チームラボプラネッツ』は開館1年で、来場者数が2館合わせて350万人を超えました。オランダにある有名なファン・ゴッホ美術館の来場者数は年間200万人強だそうですから、大きく上回ります」

――アート体験というビジネスモデルをつくるのですか。

「そうなんです。お金持ちに美術品を買ってもらう仕組みが悪いわけではないんですが、ものを持つというあり方を転換したいんです。物質からの解放というと大げさですけど、世界中に台場や豊洲のような施設をつくって、多くの人に体験してもらってお金を払ってもらう。そういう新しいアート界のあり方をつくっていきたいんです」

「むしろ海外の人からの反応がいいんです。台場の施設だと来場者の6割くらいは海外からのお客さんでした。海外の富裕層はアートにお金をかけたいと考える人が多いようです」

好きなものは自然と歴史だという。「小学校の裏山は昔は城というか、とりでみたいなのがあったらしくて、土を掘っていると瓦とか出てくるんです」とうれしそうに語る。「自然だけでなく、時間も超えて昔の人と接しているみたいで」

「国内でも東京・六本木に3月22日、サウナを体験した後にアートを楽しむ期間限定の展示を始めました。思いっきり汗をかいて脳をリラックスさせて、アートを楽しむ。日本の人だけでなくて、コロナが落ち着いて海外のお客さんも来るようになったら『東京でこんな変わった体験したんだ』と自慢してもらえるんじゃないかと期待してます。米フロリダ州マイアミにも今春中に、体験型施設を開館する予定です」

人の美意識や認識を変えたい

――狙いはアートビジネスの革新ですか。

「ビジネスだけでなく、人の美意識とか認識を変えたいのです。花や木などの植物や森、山、海などの自然を見て、美しいって感じますよね。自然界は木とか岩とか川とか、それぞれが独立しているのではなくて連続しています。ボーダーレスだからこそ美しいと感じるんです。人がつくった芸術品だけじゃなくて、こういうボーダーレスを美しいと感じる美意識を持ってほしいんです。このオフィスも植物をいっぱい置いていますが、自然を感じながら働いてほしいからです」

「体験型のアートには、自分と世界の境界線を無くして、連続しているんだと感じさせる力があると思うんです。自分と世界をスパッと分ける、分断してしまうような意識や考え方って美しくないな、と変わってくればいいなと思います」

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