汚れガード、掃除ラクラク きれい長続きさせる一工夫
寒い時期の掃除は気が進まないもの。暖かくなり、イザと取り組む人も多いだろう。今回は、きれいが長続きする住まいの汚れ予防について、家事ジャーナリストの山田亮さんが解説する。
進学や就職に合わせて家庭の状況も変わるこの季節、大掃除の機会にするのも悪くない。せっかく掃除するのなら、少しでも長くきれいな状態を維持したい。我が家で実践中の、汚れを簡単にリセットできる方法を紹介する。
大掃除といえば換気扇。油やホコリでベタベタになりがちだ。防止策として一番手軽なのは、ペーパー状のフィルターを取り付ける方法。レンジフードや換気扇に汚れが付きにくくなる。ただし付けっぱなしはNGだ。油などでフィルターが目詰まりした状態を放置すると、換気扇の吸い込み力が落ち、油分を含んだ空気がキッチンや隣接する居間、リビングにも広がる。交換はマメにしよう。
コーティングで 油落としやすく
ホームセンターなどで購入できるスプレー式のコーティング剤も便利だ。自宅の換気扇が「シロッコファン」と呼ばれる、縦長の板のような羽根が筒状にとりつけられた構造の場合、溝に入り込んだ油汚れをかき出すのは大変な作業だ。一度、掃除をした後にコーティングしておけば、付着した汚れが落ちやすくなり、次回からはお湯で流すだけでかなりきれいになる。
コーティング剤にはシンクや洗面台など、水回り用の製品もある。掃除をしても、水アカ汚れがすぐにたまってしまう、という人にオススメだ。シンクは長年使っていると、水をはじく力が弱まり、水切れが悪くなる。するとたまった水に含まれる微細なゴミがシンクの表面に残る。そのゴミを足がかりに次のゴミがたまる。その繰り返しで水アカがたまる。水滴が玉状に残らず、大きなアメーバ状に残るようだと要注意だ。
ステンレス製のシンクの場合、専用の洗剤などで表面を一度キレイにした後にコーティングすると、水アカ汚れがつきにくくなる。ただし最初からコーティングしてある場合や、人工大理石の場合は手入れ方法が異なることもある。メーカーのカタログで確認したり、カスタマーサービスに問い合わせたりしてから作業にかかってほしい。
タイルの目地は シートを張って
家の中で大きな面積を占める壁も汚れが気になる場所だろう。例えばタイル張りのキッチン。丈夫でオシャレだが、目地に汚れがたまりがちだ。我が家では、食品用のラップフィルムをタイルに張り、定期的に張り替えていた。今は層になっている壁専用の透明シートが販売されている。汚れてきたら一枚ずつはがして使え、便利だ。
洗面台と壁の境目やグリルとシンクトップの接点など、面と面の継ぎ目も汚れがたまる。そこはマスキングテープがオススメ。壁などに合わせた色のテープを継ぎ目に張り、汚れたら張り直すだけ。セロハンテープのような光沢がなく、目立ちにくいのが利点だ。逆にあえて目立つ柄を使い、インテリアのアクセントにするのも一案だ。
これから家具を買い足したり、模様替えしたりする予定のある人は、掃除のしやすさを優先した配置にすることもポイントだ。一般的に家具は壁面につけることが多いが、壁との間にできるわずかなすきまにホコリがたまる。そのため、あえて壁と家具の間に手や掃除道具が入る隙間を作り、ホコリをとりやすくする、という考え方もある。
床面も同様だ。家具を新調する場合、足つきの家具を選ぶと、掃除のたびに移動させる手間が省ける。掃除ロボットを使う家なら、ロボットがスムーズに動けるだけの足の高さがあるものを選ぼう。
洗面所に置いた洗濯機の下は、髪の毛や衣類から出る繊維ホコリに湿気や洗剤の飛沫が絡み、かなりの汚れになる。洗濯機用のかさ上げ台を使って底上げすると、掃除が簡単だ。最近のかさ上げ台は、防振防音にも対応している。洗濯機の下は、落としたものが入り込みがちだが、取り出しやすいのもメリットだ。
この春に新居に引っ越したばかりの人も、ちょっとした一手間できれいな状態を長引かせることができる。ぜひ試してみてほしい。
(家事ジャーナリスト 山田 亮)
[NIKKEIプラス1 2021年3月20日付]
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