石津「やはりスターが現れないと。(前米大統領の)トランプさんみたいな人も含めて、想像がつかないような人がスターになって新しいスタイルが生まれる。ウィンザー公とか、映画スターとか、これまでもファッションに影響を与えたスターがいましたよね。異性欲からいえば、絶対モテる男がスターだからさ。現れたら、そのスターのスタイルがしばらくはやるよね」

アースカラーばかりじゃ、もったいない

テリー「僕の場合、ファッションの知識があって、基礎勉強ができているけど、よくない部分もある。子供の絵は基礎がないから面白いように、ルールにとらわれないのがファッションの面白さなんです。昔、アイビーが好きだったころに、エルビス・プレスリーをみて、なんでこんな変な格好をしているんだ、って思っていました。フリンジ付きのジャンプスーツなんてね。でも、考えてみたら、アイビーよりもよっぽど、フリンジを着ているほうが面白い。アイビーは一生着られるけど、プレスリーのフリンジは一生着られないんです」

「僕の学生時代の女の子の格好はハマトラで清純なものが多かった。バブル期になって今度はボディコンがでてきてすごく流行して。ファッションはいろんな形でやっていける。だから面白いよね」

――決まりごとに縛られてしまうと、面白い発想が生まれない。今でもそうでしょうか。

テリー「ホストクラブに行けば、裸でジャケットを着ちゃう人もいる。ネクタイの締め方なんてどうだっていい。タンクトップにスーツを着ちゃうんだから。でも、その方が女の子にモテるかもしれない。ファッションは面白いよね、培ってきた物が一瞬で崩れるんだから」

――ファッションは気分転換になりますよね。コロナ下でもファッションを楽しむために何をしたらいいでしょうか。

石津「マスクが外せるようにならないとだめだな。マスクってみんなの個性を消さざるを得ないから。あと、さっきの5つの欲にある群れる欲。群れるとみなを意識するようになるから、着るものにも気を使う」

テリー「僕は色が好きだから、いろんな色を使いたいと思っています。洋服屋さんにいっても、最近は黒、グレー、白、ベージュとか、アースカラーが主流。街に出てもピンクやグリーンのセーターや、明るいブルーのシャツ着ている人とか少ないから、もったいないなあ、と思っています。いつまでも洋服着ていられるわけではないから、死ぬ前に冒険したほうがいいよ」

石津「テリーさんがスタイルを自分のものにできているのは訓練のたまもの。生まれつきのおしゃれなんていないんだから、どんな人も面白がって、挑戦してみることだよ」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

石津祥介
服飾評論家。1935年岡山市生まれ。明治大学文学部中退、桑沢デザイン研究所卒。婦人画報社「メンズクラブ」編集部を経て、60年ヴァンヂャケット入社、主に企画・宣伝部と役員兼務。石津事務所代表として、アパレルブランディングや、衣・食・住に伴う企画ディレクション業務を行う。VAN創業者、石津謙介氏の長男。

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