「中でも人気は山芋コロッケです。長イモ、大和イモに、むきエビ、シイタケ、タマネギが入っていて、うちでしか食べられない味です」

服部精肉店で食した3種。左からじゃがいも、米粉、山芋の各コロッケ)

風が冷たかったこの日。ホクホクでトロリとしたコロッケの味わいは、心と身体の芯まで温めてくれた。聞けば、服部さんもまたバレーボール部で吉田さんの後輩だそうだ。

大竹さんからもらった店舗マップを頼りに、さらに30分ほど郊外へ。「平野精肉店」では、創業から60年来の味という「カレーコロッケ」をいただく。椅子に腰かけ、一面に広がる畑と青空を眺めながらほお張ると、10円玉を握りしめ、友人と一緒に肉屋に走った子ども時代の記憶がよみがえってくるから不思議だ。

多忙な中、店休日に取材時間を割いてくれたのが、「コロッケクラブ龍ケ崎」会長を務める高橋肉店の社長、飯島進さん。店は1949年の創業で、飯島さんは3代目。店名は初代店主の東京での修業先ののれんだ。

茨城県下妻市出身の飯島さんは、龍ケ崎市内の自動車ディーラーに勤務していたが、車の修理に来た当時、保育士だった美知さん(現副社長兼店長)と2003年に結婚、ド素人のまま店を継ぐことに。

折あしく2000年代初めはBSE(牛海綿状脳症)騒動が広がり、一時は店を畳むことも検討したという。ただ、持ち前の研究心、チャレンジ精神に火がついた。「柔らかくて甘みのある茨城県産の豚肉もコロッケも本当においしいし、とにかく『がんばれ!茨城県』という気持ちで、みんなで走りました」

ログハウスやウッドデッキも備えた店は、ばぁちゃんコロッケ、常陸牛コロッケ、おコメのクリームコロッケなどオリジナルメニューが充実している。

コロッケクラブは市や商工会のメンバーとタッグを組み、市内で手作りする個々の店のこだわりをあの手この手でアピールする。加盟店は約20。毎月、新作メニューを披露する会合も主宰している。

コロナ下で苦しむ加盟店のために、昨年は目標額100万円のクラウドファンディングも実施。1万円寄付すれば一生、加盟店のコロッケが1日1回食べられる「金のころパス」などを特典につけた。

市も商工会もクラブも協力し毎月第1日曜、市中心部の「にぎわい広場」で開いているのが、2001年から続く「まいんバザール」だ。コロナ禍で何度か中止を余儀なくされたが、今年3月7日で227回目。まいんコロッケはもちろん、龍ケ崎やきそば、もつ煮、納豆のブースやキッチンカーなどでにぎわう。

バザール名物は、近くにキャンパスがある流通経済大学スポーツ健康科学部の学生らが振り付けを考案した「ドラコロ体操」。龍ケ崎市コロッケ親善大使を務める歌手、五月みどりさんの「コロッケの唄」に合わせ、1年生がステージ上でユニークな踊りを披露する。

龍ケ崎コロッケも、ご多分に漏れずコロナ禍で「売り上げはピークの10分の1に減った」(飯島さん)と悩ましい。おまけに外食チェーンもコンビニも、テークアウト用の揚げ物に力を入れている。加盟店の中にはパートが雇えず、珍しいコロッケメニューの提供を中断したところもある。5月6日は語呂あわせで「コロッケの日」。一刻も早いコロナの収束を祈るばかりだ。

(ジャーナリスト 嶋沢裕志)