――自他ともに認めるファッション通。石津さんはよく、テリーさんの着こなしが格好いいと話されます。

石津「トラッドの洗礼を受けた世代って、大人になっても卒業せずにそのまんま、おしゃれが止まってしまったような留年組が多いんだよ。おやじ(石津謙介さん)がよく言っていたけど、トラッドは入門編。学生はアイビーからはじめて、その後トラッドを学び、ブルックスブラザーズなどへと進んで、卒業していく。テリーさんはアイビー少年からスタートして、トラッドを学び終えたらここまでこれるという、卒業しきった人の代表なんだ。まあ、ここまでの優等生はいないけど。僕ね、今だって、テリーさんが何着ているのかなってテレビを見るのが一番楽しみだもんね。気になって仕方ないの」

基本をアレンジ、「遊び」楽しむ

――2011年にテリーさんは「ベストドレッサー賞(社団法人日本メンズファッション協会主催)特別賞・石津謙介賞」を受賞されています。

石津「石津謙介賞は後にも先にもテリーさんただ1人だもんね。テリーさんもある意味、おしゃれだねっていう周囲のまなざしをいつも意識することは負担かも知れないけど、たぶん、それを承知でやっているわけだろうから」

テリー「でも、僕は全部、VANから教わりましたよ。石津さんが言われたみたいに、もともとあるものをアレンジしただけなんです。こういうふうにしたら面白いんじゃないかなってね」

「銀座のテイメン(テイジンメンズショップ)はとにかくまばゆかった。VANの服を着ていかないと入れないみたいなプレッシャーがありましたよね」

石津「テリーさんのこのアレンジを誰かがまねしたって、それだけじゃさまにならないの。トラッドの基本を身につけて、遊ぶからいい。でも今は自由すぎて、若いメンズのデザイナーでも、トラッドを知らない人は多いですよ」

――トラッドといえば今月28日、銀座にある「テイメン(テイジンメンズショップ)」が閉店します。60年にオープン、VANを扱い、アイビールックの聖地のような場所でした。

石津「謙介が帝人の顧問をやっていた関係で、当時社長の奥さんだった大屋政子さんから任されたのがテイメンでした。2階にはVAN好きだったカントリー歌手、寺本圭一さんの奥様がハンバーガーショップを開いて。VANを扱う店の中でも特別な存在で、あそこの店長やらせてもらえるのは相当優秀な人。そもそもVANの採用基準は、VANの好きさ加減だったくらいなのですが、その中でも銀座に立たせる店長となると、うるさいお客さまにも対応できるかどうかが重要になりますからね。店員で多かったのは浅草育ちの老舗商店の息子。子供のときから東京の繁華街育ち」

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