田中「女性のキャリア形成についても、コロナ禍を契機に柔軟になってきたのではないか」

森本「リモートワークにより、仕事の合間に子どもの問題にも対応できるようになった。女性がこれまで諦めてきた管理職などへのチャレンジもできるようなった。チャンスだと思う」

田中「やってきたことの全てが経験という財産、資本になるはず。ひとつの組織の中で迷って、自分にブレーキをかけるのなら、新しいことに挑戦していく時代なのだろう。組織内キャリアから自律型キャリアへ、自らキャリアオーナーシップを持ってやっていこうということ」

森本「自分の身は自分で守る時代が来たのだろう」

田中研之輔氏 法政大学キャリアデザイン学部教授。一橋大学大学院社会学研究科を経て、豪メルボルン大学、米国カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員。専門はキャリア論、組織論。社外取締役・社外顧問を24社歴任。著書に『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論』(日経BP)など

田中「自分自身の市場価値はどう測ったらいいのか。今の会社にとどまるべきか迷ったときは、何をしたらいいのか」

森本「プロフェッショナルに相談して、相場観を知るといいだろう。日経転職版などの転職サイトに登録してみるのもいい。意外な求人企業から声がかかったり、これまでの経験とは異なる軸からの反応があったりするはず。まずアクションをとってみることだ」

転職に「年齢の壁」はあるか

田中「40歳男性がこれからのキャリア形成を考えるうえで必要なことは何か」

森本「採用活動での年齢制限が禁止されたころから、企業の年齢に対する考え方が柔軟になってきた。以前は転職35歳限界説がまことしやかに語られていたが、あまり根拠のあるものではなかった。40歳だからといって、何か壁があるわけではない」

森本「リクルートキャリアの調査では、過去10年間の転職決定者の約7割が異業種への『越境転職』だった。同業種同職種への転職者が一番活躍していると思われるかもしれないが、採用企業に転職者の活躍度を尋ねたところ、異業種異職種であろうと何であろうと、ほとんど差はなかった。むしろ異なる価値観、手法を社内に持ち込んでほしいというニーズが増えている」

田中「キャリアの自律こそが重要だ。組織内で『仕事をやらされる』と考えるのではなく、自ら主体的にキャリア形成していく場所が組織と考えるべきだ。自律型キャリアのポイントとは、これまでの職種、業種に自分の可能性を縛られる必要はないということだ」

女性のキャリアブランクの悩み

田中「女性がキャリアブランクで悩むことも少なくない」

森本「何歳からでも遅いということはない。目の前のことを一生懸命、最善を尽くせば何かにつながる。」

田中「これからの女性のキャリア形成には(1)継続的に学び、自己のキャリアを深化する (2)出産・育児はキャリアブレーキではなく、キャリア資本の蓄積 (3)組織の共創力を高め、リーダーシップを発揮する――がポイント。管理職にも手を挙げていってほしい」

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