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ファッションからごみゼロへ ロンドンで変身した理由

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NIKKEI STYLE

 外資系企業や「ほぼ日」最高財務責任者を経て50代でベンチャー企業に転身した篠田真貴子さんをホストに、次世代のリーダーのビジョンを探るシリーズ「マキコの部屋」。今回の対談相手は、ファッションデザイナーを夢見てトップデザイナーを輩出する芸術大学に留学したことをきっかけに、サスティナビリティと出会って大きな方向転換を遂げた、大塚桃奈さんです。利益と売り上げが優先されるビジネス現場において、サステナブルをどのように実践すればいいのか考えてもらいました。

大塚さんは現在、徳島県にある「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」でゼロウェイスト(ごみゼロ)に取り組んでいます。上勝町は日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を出し、サステナブルの町として注目を集めています。人口約1500人の小さな町のゴミステーションでは、ゴミの45分別が行われ、リサイクル率80%を達成しています。

篠田真貴子さん(以下、マキコさん) 「サステナビリティ」に出会う前のお話から伺いたいのですが、大塚さんはファッションデザイナーになりたいという夢をもっていたんですよね。

大塚桃奈さん(以下、大塚さん) はい。小さい頃からファッションが好きで、小学生の頃は、自分で服をデザインするキットが付いている本で遊んだりしていました。

中学1年生のときに、職業体験ができるアミューズメントパーク「キッザニア」が主催するデザイン画コンテストでグランプリをいただきました。実際に自分のデザインした服が製品化されて、世界に1つだけの服になりました。それがとてもうれしくて、本格的にデザインの道に進みたいと思うようになりました。

高校生のときに「トビタテ!留学JAPAN」に応募して、6週間ロンドン芸術大学に留学しました。実際にミシンで服を作ったりもしました。

マキコさん その留学が「サステナビリティ」に興味をもつようになったきっかけなんですよね?

大塚さん 「トビタテ!留学JAPAN」のプログラムでは、「学んだことをどうやって社会に還元できるかを考えた上で勉強する」ということが問われました。ただ好きでデザインをするのではなく、服が作られる過程や環境を考えるきっかけになりました。

いろいろ調べていくうちに、それまで「ポジティブなもの」だと思っていた自分の好きなファッションが実は労働問題や環境問題、繊維産業にも影響を与えているということを知りました。「こんなに社会課題があるなら、デザインを学ぶ前に社会のことを知らなければいけない」と思いました。このときから、サステナビリティやエシカル消費に興味をもち始めました。

マキコさん 好きなファッションを通してサステナビリティと出会った大塚さんが、さらにそこから上勝町でお仕事をするようになるには、大きなジャンプがあったと思うのですが。

上勝町までバスを乗り継ぎたった1人で

大塚さん 私が今働いている「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」を設計した中村拓志さんが私の母の同級生で、「上勝っていうゼロウェイストに取り組んでいる山の中の町があるらしい」ということを大学1年生のときに知りました。

なんだか面白いことが始まりそうだと感じて、1人で徳島空港からバスを3つ乗り継いで行きました。町の人たちと交流することができて、そこでいろいろな人とのつながりができました。

大学3年生で1年間スウェーデンに留学していたときに、上勝のプロジェクトメンバーの方から「ヨーロッパの視察ツアーをコーディネートしてほしい」という依頼を受けて、アムステルダム、ブリュッセル、ベルリンを巡りながら、サーキュラーのビジネスやコミュニティーを見る機会がありました。

大量生産・大量消費・大量廃棄とは違う、「今ある資源をどう活用していくのか」を考えている人たちが世界にはいることを知りました。

その後、「上勝でも新しいプロジェクトが始まるから、よかったら一緒にやってみない?」と声をかけていただいて、町にやってきました。

マキコさん 上勝町では「ゼロウェイスト(ごみゼロ)」の取り組みをされていますが、具体的にゴミをゼロにする(ゴミが出ない)というのはどういうことなのでしょうか?

大塚さん 上勝は、2003年に日本の自治体で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を出した町ですが、このゼロウェイストの意味は「焼却ゴミ・埋め立てゴミをなるべくゼロに近づけよう」ということです。

マキコさん 「ゴミを45種類に分別している」など、キャッチーな文言も目にしますが、それはおうちにゴミ箱を45個用意しなくちゃいけないということなのかな、とか(笑)そんな想像もしてしまったのですが、どういう仕組みになっているか教えていただけますか。

大塚さん 例えば、私が働いているゼロ・ウェイストセンター併設の宿泊施設「ゼロ・ウェイストアクションホテル HOTEL WHY」では、宿泊者の方に、滞在中に自分が出したゴミを6分別してもらいます。生ゴミ、紙ゴミ、その他のゴミ、きれいな容器・包装のプラスチック、汚れているプラスチック、缶・瓶・ペットボトルです。

それをチェックアウトのときに、町のゴミステーションに行ってスタッフのヘルプを受けながら、さらに分けてもらいます。一般的にゴミは「可燃ゴミ・不燃ゴミ」で分けると思いますが、上勝では「リサイクルできる・できない」で分けています。出ているゴミをなるべく資源に変えていこう、という発想から始まっています。

マキコさん 上勝町のリサイクル率は現在80%を達成しているそうですが、残りの2割にはどんなものがあるのですか?

サステナビリティとビジネスの両立に向けて

大塚さん 例えば、使い捨ての紙おむつや使い捨てのカイロなどのように、異なる素材が密着しているゴミです。どうしても燃やさなければならないゴミ、埋めなければならないゴミになっていて、これが今、町の課題になっています。

上勝のゴミステーションには「そのゴミがどこに行って何になるのか?」が明記されています。可視化されることが課題解決の第一歩として、非常に大事だと思います。

マキコさん 自治体がゴミの行方やリサイクル先を可視化してくれると、「何を買うか?」ということにも意識が向きますよね。

大塚さん 消費行動も変わってくると思います。例えば、お菓子なら「2分別のチップス」と「4分別のチップス」があります。

アルミ缶はリサイクル業者さんが1kgあたり90円で買い取ってくれますが、瓶やペットボトルのリサイクルには費用がかかります。リサイクルの観点からは、缶は資源としての価値が高いということになります。

マキコさん 「リサイクルにはコストがかかる」という点が、リサイクルがなかなか広まらない、特に企業がなかなか前向きになれない要因の1つだと思います。上勝町の皆さんは、コストがかかることについてはどう考えているのですか。

大塚さん 上勝のゴミの総量は300トンくらいです。これをすべて焼却埋め立て処分すると1000万円以上のお金がかかります。でもそれを、細かく分別することによって600万円くらいに抑えています。

資源物を分別することでもらえるポイントを発行して、それを町で使える商品券に交換できるようにして還元したりもしています。リサイクルに協力することで、地域の経済が回るような仕組みも作っています。

マキコさん リサイクルには需給のバランスも重要だと思います。再生プラスチックを使って運搬用のパレットを作っていた業者が、コロナの影響で大量運送自体が減少したことで生産数が減り、廃プラを引き取れないということも起こっているようです。

経済の状況が変わってバランスが崩れたとき、再生できる資源ゴミを集めても、それが再生されないということも起こり得るのではないかと思いますが、大塚さんはどうお考えですか?

大塚さん 「リサイクルだけでゼロウェイストを実現するのは難しいだろう」ということは、17年間取り組んでくる中で、上勝が出した1つの答えだと思います。

やはりものを作る段階で、それがどのように回収されて廃棄されるのかを踏まえて生産しないと、変わらないと思います。

これまでのビジネスでは、売り上げが一番の目標で、環境や社会のことはその次だったと思います。でもこれからは、売ることよりも、作ったものがどう循環するかに意識を向けていかないと、ビジネスとして継続していかないと感じています。

 この記事は2月16日(火)に開催した、オンラインイベント「ファッションからごみゼロへ ~私が変身した理由~」の内容をもとに作成しました。

篠田真貴子さん 株式会社YeLL 取締役 1968年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒、米ペンシルベニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大国際関係論修士。日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレを経て、2008年10月にほぼ日(旧・東京糸井重里事務所)に入社。最高財務責任者を務める。2018年11月に退任し、1年3カ月のジョブレス期間を経て、2020年3月からベンチャーの「YeLL」取締役に。
大塚桃奈さん 1997年生まれ、湘南育ち。「トビタテ!留学JAPAN」のファッション留学で渡英したことをきっかけに、服を取り巻く社会問題に課題意識を持ち、長く続く服作りとは何か見つめ直すようになる。 国際基督教大学卒業後、徳島県・上勝町へ移住し、2020年5月にオープンした「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」に就職。現在、山あいにある人口1,500人ほどの小さな町で暮らし、ごみ問題を通じて循環型社会の実現を目指して同施設の運営に携わる。 併設するHOTEL WHYでは、宿泊を通じて上勝での暮らしを体験でき、チェックイン時にはスタディツアーを開催している。

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