市場価値を高めるためのいくつかの観点

おおよその市場価値や実態を把握できたら、次は手持ちの経験・スキルを元手に、市場価値を高めていくステップになります。これをやれば必ず市場価値が高まるという絶対的な方法はありませんし、人によっても自分に合う方法は異なります。あくまでもヒントとしてではありますが、下記の観点を参考にしてもらえればと思います。

(1)自分の専門領域を確立する
(2)できれば複数の専門を掛け合わせる
(3)実績として結果を生み出す
(4)社外でのコミュニティーをつくる
(5)インプットを続ける体制をつくる

以下に、それぞれを簡単に説明していきます。

(1)自分の専門領域を「腹決め(覚悟を持って選択する)」する

ここでいう「専門領域」とは、自分自身が「自分が何屋かを語れる」というメイン領域のことです。もちろん、会社を超えても通用するレベルであるに越したことはありませんが、たとえレベル感がわからなくても、自分の中で最も思い入れがある職務であったり、最も長く経験してきたメイン職務であったりと、覚悟を決められるものであれば構わないと思います。

場合によっては、経験年数が最も長いわけではないが、今後、自分の一生の仕事にしていきたいものを選ぶということもあり得ると思います。

これがはっきりしないという場合は、できるだけ速やかに「専門領域を『腹決め』する」ための準備を始めたほうがいいと思います。

ちなみにこれを決める際には、単に自分の「好き嫌い」ではなく、さきほどお伝えした人材市場の需要を考慮に入れて、「需要がより多そうかどうか」そして「今後も需要が増えていきそうかどうか」という観点を重視してほしいと思います。

(2)できれば複数の専門を掛け合わせる

可能であれば、専門性をメインとサブの2つ用意できると、それだけで「希少性」が高まり、市場価値は格段に上がります。たとえば法人営業なら直販だけでなく、代理店営業ネットワークも構築できるとか、営業実務と営業企画の両面をプロレベルで遂行できるというイメージです。

エンジニアなら、ウオーターフォール型の開発だけでなく、アジャイル開発にも対応できるとか、アプリケーションだけでなくインフラについても経験があるというケースも想定できます。

もし、現時点では複数キャリアを持っていなくても、自社で働きながらそれを意識することや、社会人向けスクールで戦略的に知識を付けるという方法もあるかもしれません。

(3)実績として結果を生み出す

専門領域と決めたことについては、仕事の成果を「数字」で示せるよう準備しておくことが不可欠です。金額、達成率、伸び率など、自分が関わる「前と後の変化」を数字で語ること、またその結果に対する「自分の関与度」「自分ならではの創意工夫ポイント」をわかりやすく伝えることも忘れないようにしてください。

(4)社外でのコミュニティーをつくる

社外での自分の価値を磨くには、社外でのコミュニティーづくりをお勧めします。本業が忙しいと、どうしても付き合いが社内に偏りがち。新型コロナウイルス感染症の影響で、それすらも難しい状況にある人が多いと思います。

今はなかなかリアルな接点づくりは難しいかもしれませんが、ウェブ上で行われているセミナーや勉強会、また大学時代の友人に会うだけでも価値はあります。少しでも自分の世界を広げていくことで、自分を客観的にみることができる機会を増やしてください。

(5)インプットを続ける体制をつくる

最後にお勧めしたいことは、本業以外で継続的にインプットができる機会づくりです。読書や講演、勉強会などの受動的なインプットだけではなく、副業を経験してみるという体験型のインプットも検討してみてほしいと思います。副業とはいえ、仕事になるので、アウトプットの場が与えられ、緊張度が上がる結果、インプットの質も高まります。会社の肩書に関係のない「素」の自分として働くことによって、個人としての市場価値を感じることもできます。

対価を得る副業が禁止されている場合は、金銭の受け取りが発生しないボランティアやプロボノなどを利用する方法もあるでしょう。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

黒田真行
ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。2019年、中高年のキャリア相談プラットフォーム「Can Will」開設。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』、ほか。「Career Release40」 http://lucentdoors.co.jp/cr40/ 「Can Will」 https://canwill.jp/

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