兄や弟を表す言葉は brother 一つです。わざわざ elder, younger とつけなければいけませんし、いちいちつけたりしません。 brother と聞くと日本人の私は「お兄さん? 弟? どっち?」と確かめたくなるのです。

先輩、後輩、同期もしかり。該当する単語がありません。生徒さんからもよく聞かれる質問の一つです。「じゃあ何と表現すれば良いのでしょうか」と聞かれましたので older friend, younger friend, co-worker とお答えしました。しかし生徒さんは先輩は「友達」って感覚ではないです、とおっしゃるではないですか。あくまで「先輩」は「先輩」で年上でちょっと壁がある存在。「う~ん、これは英語と日本語の越えられない壁だな」と思いました。

英語に「タメ口」という言葉が存在しないのはこのことからわかるでしょう。これは日本語のスラングに当たる言葉で、タメ=同い年や同等の立場、ですよね? 特に年を意識した言葉だと思います。もちろん親密度によりますが一般的には年上の人に対してタメ口などきくのはとても失礼です。これに対して英語圏は「長幼の序」の縦型ではなく、 equal (平等) を重んじる横型なので年を意識した単語がありません。先生や上司でさえ、 Mr.Miller (Family name) ではなく、 John と first name で呼びます。

これはアメリカの例ですが合衆国の独立宣言の言葉、 All men are created equal. (人はみな平等に作られている) が文化にも表れています。英語は年上だとしても過度の丁寧さを避け、フレンドリーにします。それが文化的に適切だからです。

(7)ジョークやユーモアの心

最後のルールは「ジョークやユーモアの心を大切にする」ということです。どんな辛い場面でもジョークやユーモアで場を和ませようとします。

先日テレビでニューヨークの救急医療のフロントラインで戦う医師のドキュメンタリーを見ましたが、大変緊張を強いられる日々の中のはずですがジョークを飛ばしてました。「こんなときこそユーモアの心が大事」とも言ってました。

日本人はどちらかと言うと真面目な国民性のため、「ビジネスの中でジョークを言うなど不謹慎な……」と思ってしまうかもしれませんが、実際に会議や打ち合わせでもお互いにジョークを言って笑い合います。

「トム・ソーヤーの冒険」などで知られる小説家、マーク・トウェイン(Mark Twain)の The human race has one really effective weapon, and that is laughter.(人類の一つの効果的な武器は笑いである)という言葉からもわかるように、笑いをとても大事にしているのです。

「文法を間違えないで完璧に話さなきゃ」と思うよりも、リラックスして肩の力を抜き、ジョークに笑う心の余裕を持ちましょう。そのマインド自体が英語力を上げていきます。

神林サリー
Sally’s English Lesson主催、英会話英語学習本作家。大学の専門は英米文学。アメリカ留学後は、ファッションモデルをしながら通訳・翻訳学校でプロの英語を習得。バックパッカー、オーストラリアでの就労経験、大手英会話学校の講師、外資系企業勤務の経験を生かしてレッスンを提供。主な著書に「Easy&Fun!英語で手帳を書こう」「英語で手帳にちょこっと日記を書こう」など。
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