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メルセデス・ベンツSクラス 威風堂々の先進性と快適性

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NIKKEI STYLE

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スリーポインテッドスターを象徴する一台であり、Lクラスセダンの世界的ベンチマークでもある「メルセデス・ベンツSクラス」がフルモデルチェンジ。7代目となる新型は、ライバルの一歩先を行く先進性と、さらなる快適性を併せ持つクルマに仕上がっていた。

世界的な"高級車"のベンチマーク

メルセデスがSクラスという名を使い始めてから、この「W223」型は7代目にあたるという。が、市場でのステータスたるやそんなものではないだろうと歴史をさかのぼってみると、団塊世代には懐かしい"縦目"や"ハネベン""ポントン"、それ以前にもSクラスに通ずる存在のモデルはある。

ともあれ言えるのは、民主主義的な価値観が浸透した第2次大戦後の世界において、メルセデスは"性能"という平等な評価軸のもとに、高級車の範であり続けてきたことだ。時の移ろいに沿ってメルセデスもコストダウンや多車種展開など、変節を経てきたが、それでも最も揺らぐことなくそのポジションを守り続けてきたのがSクラスなのだと思う。

果たして、山は動いたのだろうか。

「フォルクスワーゲン・ゴルフ」や「BMW 3シリーズ」も然(しか)りだが、それにも増して、新しいSクラスの試乗には毎度そういう気持ちで臨むことになる。

日本市場での新型Sクラスのバリエーションは、「S500」と「S400d」の2つとなり、おのおのに標準ボディーとロングボディーが用意される。そしてドライブトレインは「4MATIC」、つまり4輪駆動のみ。FRが姿を消したのはクルマ好きにとっては衝撃的な出来事かもしれない。

S500に搭載されるのは先代Sクラスのモデルレンジ後半から投入された「M256」型直列6気筒直噴ガソリンターボ。これにISG(インテグレートスタータージェネレーター/モーター機能付き発電機)を組み込んだ48Vマイルドハイブリッドとなる。また、タービンに送り込む圧縮空気を生成する電動コンプレッサーも組み合わせて、低回転域でのターボの効率を高めている。最高出力は435PS、最大トルクは520N・mを発生し、9段ATとの組み合わせで0-100km/hは4.9秒をマークする。

一方、S400dに搭載されるのは、これも先代Sクラスのモデルレンジ後半に投入された「OM656」型直列6気筒直噴ディーゼルターボだ。こちらはISGなどのアシストデバイスはない純然たる内燃機となるが、WLTC複合モードは12.5km/リッターと、S500に対して約1割の低燃費となっている。最高出力は330PS、最大トルクは700N・mを発生し、S500同様9段ATとの組み合わせで0-100km/h加速は5.4秒となる。

ADASについては"通信アップデート"に期待

車台は先代Sクラスが採用した「MRA」の流れをくみながらも、各部を大幅にリファインした第2世代のアーキテクチャーとなり、剛性向上と軽量化を両立したものとなっている。構造部位の中空部には発泡ウレタンを充填(じゅうてん)させているが、これは剛性うんぬんよりも共振を抑えて静粛性を向上させる狙いだ。ほかにもキャビンと外部との貫通孔のシーリングや、ウインドーまわりのストリップモールの形状などにも工夫を施し、遮音対策を徹底している。

足まわりは前:4リンク、後ろ:マルチリンクと先代の形式を踏襲しながら、新しいメカニズムとの親和性を高めるべく設計を改めている。日本仕様はエアサスペンションの「エアマチック」が標準となり、本国仕様ではオプションで用意される電動アクティブサス「E-ABC」は選択できない。また、新型Sクラスの目玉である4WS(4輪操舵)も標準装備となるが、後輪の切れ角は60km/h以下では逆位相で最大4.5°、60km/h以上では同位相で最大2.5°と、本国仕様に対して大きく規制されている。これはシュトゥットガルト空港などで実証が進む"レベル4"相当の自動駐車システムに対応した「インテリジェント・パーク・パイロット」が選択できないことも関係しているのだろう。裏返せばメルセデス側も、最大10°の後輪逆相角は狭所の駐車時など限定された状況でしか威力を発揮しないとみているのではないだろうか。

ちなみに先進運転支援機能(ADAS)関連では、ドイツ国内で認可待ちとなる"レベル3"相当のドライブ・パイロットも日本仕様には搭載されていない。LiDARや高精度GPS、ダイナミックマップなどのデータを連携させるこれは、当面はアウトバーンでの渋滞時のハンズオフドライブを実現させるためのシステムとなるだろう。車両側のデジタライズ化に伴い、こういったローカライズにまつわる課題は増えてくることになるだろうが、新型Sクラスでは通信機能を標準装備し、OTAアップデートにも柔軟に対応していく姿勢をみせている。

ライバルの先を行くユーザーインターフェース

前型では2画面液晶パネルによって推し進められたコックピットのデジタル化は、さらに加速。あらかたの操作は、有機ELを採用した12.8インチタッチパネルモニターを軸とするかたちで集約された。各機能へのアクセスは、直接画面をタッチするほか、ステアリングのサムスイッチを介しても可能だ。もちろんAIボイスコントロールの「MBUX」も多くの機能に連携している。さすがに使用頻度の高い空調系のコントロールパネルは常時表示されているが、「暑い/寒い」と口で言えば、それに応じて温度設定が変わるわけで、ここにきてクルマの多機能化とAIまで持ち出して育ててきたボイスコントロールの存在意義が、いよいよリンクするようになってきた感がある。

ほかにも、内装の全周に張り巡らされるアンビエントライトがMBUXやADASと連動し、機能のオン/オフや衝突警告などを視覚的に伝えてくれる機能や、メーターパネルの疑似的3D表示機能、現実の景色にARナビの案内指示を重ねてHUDに表示する機能など、新型Sクラスに搭載される新デバイスは、枚挙にいとまがない。デジタル的な先進性で言えば、ライバルにまた一歩差をつけたという印象だ。

試乗に供されたのは標準ボディーのS400d。実は少なくはないオーナードリブンに最も向くグレードということになるだろうか。オプションのAMGラインは、内外装のドレスアップとともに機能面では強化ブレーキやドリルドディスクを装着、そしてタイヤは標準の18インチから前後異幅の20インチへと変更される。

そのタイヤサイズに見覚えがあるなぁと思い起こせば、「日産GT-R」のそれとピタリ同じ。よもやSクラスにそんな物騒なイチモツが充てがわれるようになろうとは……と、乗り心地をある程度覚悟して走り始めると、その先入観はあっさりと覆された。路面補修やマンホールなど一般道にありがちな凹凸や首都高速の目地段差くらいでは痛い応答をみせることはまったくない。表層が柔らかく沈み込み、奥で体をむっちりと支える低反発タッチのシートも衝撃吸収に一役かっているのだろう。ショックといえば、微(かす)かなコツンコツンというバネ下のフィードバックがステアリングホイールを介して手のひらに伝わるくらいで、街なかをたゆたうように走りゆく。

快適性はさらなる高みへ

先代との大きな違いとして挙げられるのは、認証タイヤが「MOE」から「MO」、つまりランフラットから通常のラジアルに変更されたことだ。これによって、タイヤ由来の縦バネ感の強さが大きく緩和されている。そこにサス本体のリファイン効果も相まって、ダイナミックセレクトで「コンフォート」モードを選んだ際の乗り味は、はっきりと小入力時の緩さを高めている。

オーナードリブン的にはもう少し引き締まった乗り味を好む向きもあるかもしれないが、走行モードを個別調整できる「インディビジュアル」を使えば、サスセットのみを「スポーツ」モードにすることも可能だ。その状態でさえ、先代のコンフォートモードに近いアタリの優しさが感じられる。そしてこのまろやかな乗り心地にあわせて静粛性も大きく向上しているなど、新型Sクラスの快適性ははっきりと一段上のステージに引き上げられていた。

この常速域でのイメージからしてみれば、高負荷域での姿勢変化は意外なほど少ない。コーナリングでのフラット感や回頭性のよさに大きく寄与しているのは4WSだろう。30年以上前に日本が世界に先駆けて実用化した技術が、自動運転の実現に向かうにつれ、不快なゲインやロールの抑制にも一定の効果をもたらすようになったことを実感する。もしここにE-ABCが加われば、恐らく今までとはちょっと次元の違う姿勢制御をみせてくれるのだろう。

"慣れ"を求められる箇所はある

そうした姿勢制御を、物理的違和感としてステアリングを握るドライバーに一切伝えないかについては、さすがに完璧とはいえない一面も感じられた。自分の経験値にある質量に応じたクルマの動き方と真剣に比較し始めると、交差点でのターンやコーナーでの頭の入り方など、微妙に唐突さを感じる箇所はやはり現れる。恐らく余計なことを考えなければ時とともに慣れてしまう程度のものだろう。が、人間の感覚と自然に呼応することに対しての期待値が高いブランドゆえ、一層の洗練を期待したい。

くだんのタッチパネルだけでなく、ドアノブはフラッシュサーフェス化され、ミラーやシートの調整もタッチが変わり……と、新しいSクラスには以前から親しんできたものに対して、新たな慣れを要する部位が先代以上に多い。ステアリングの両脇にレバーが残ったことが奇跡のようでもある。これを時代の変化に同調できるかの関門だと前向きに捉えられるか否かは乗る人次第だろう。

それでも座った瞬間から、走り始めた瞬間から、「あぁ……Sに乗ってるわ自分」と実感される気配づくりや触感づくりにはいささかのブレもない。このあたりは見事なもんだと思う。

(ライター 渡辺敏史)

テスト車のデータ


ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5210×1930×1505mm
ホイールベース:3105mm
車重:2180kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.9リッター直6 DOHC 24バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:9段AT
最高出力:330PS(243kW)/3600-4200rpm
最大トルク:700N・m(71.4kgf・m)/1200-3200rpm
タイヤ:(前)255/40R20 101Y/(後)285/35R20 104Y(ブリヂストン・トランザT005 MO-S)
燃費:12.5km/リッター(WLTCモード)
価格:1293万円/テスト車=1541万8000円
オプション装備:ベーシックパッケージ(70万円)/レザーエクスクルーシブパッケージ(66万円)/AMGライン(99万8000円)/3Dコックピットディスプレイ(13万円)

[webCG 2021年3月10日の記事を再構成]

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