マカロニ刑事の格好は、ヨーロピアンスタイルと呼ばれる1970年代にイヴ・サンローランが流行らせたスーツスタイルである。ドラマでショーケンが着ていたのは、当時、かまやつひろし氏やカメラマンの立木義浩氏といった文化人や芸能人、芸術家が集うサロンだった、六本木の飯倉に現在もあるイタリアンレストラン「キャンティ」の2階にあった「ベビードール」というオートクチュールのブティックのパンタロンスーツだったそうだ。

「傷だらけの天使」で見せた自由な着こなし

マカロニ刑事に続いてショーケンが演じた、これまた情けないんだけれどもカッコいい俺たちのファッションアイコンが、ご存じ「傷だらけの天使」の木暮修である。

傷天の話なら俺に語らせろ!という筆者なんぞよりもはるかにショーケンファンのご同輩が大勢いらっしゃると思うので、ここではファッション以外はあまり詳しく触れないことにしておこう。そういえば、修と亨(水谷豊)が住んでいた雑居ビルの屋上にある通称「ぺントハウス」がまだ残っていた代々木駅前のビルが2019年、ついに取り壊されて、傷天の聖地がなくなってしまったとファンの間で嘆かれた。ちなみにアニメ映画「天気の子」の舞台にもなっていて、若い世代にとっては違う意味で聖地巡礼先だったらしいですな。

テレビドラマ史に数々の伝説を残している名作だが、テレビドラマのクレジットに「衣装提供」というのが流れたのも、おそらく「傷だらけの天使」が最初である。

映画「股旅」で会見した萩原健一(右から2人目)。右は市川崑監督(1972年)=共同

そこに書かれていたブランド名が、タケ先生こと菊池武夫氏の「BIGI」だ。といっても90年代のDCブランドブームの頃のメンズビギではなく、まだ現在の表参道ヒルズの向かいの教会辺りにあった半地下のビルに入っていた、いわゆる「マンションメーカー」と呼ばれていた菊池武夫氏と稲葉賀恵氏がやっていた時代のBIGIである。

当時、菊池武夫氏が出入りしていた今でいうところのインフルエンサーたちが集う赤坂や青山、六本木のディスコやナイトクラブでショーケンと顔見知りになり、それが縁で「傷だらけの天使」にBIGIのサンプルの服を衣装提供するようになったという。

ドラマの中でショーケンが着ていたBIGIの服は、当時ロンドンで流行っていた「バギースーツ」と呼ばれる、幅広のピークドラペルのダブルのパンタロンスーツスタイルである。ショーケンの凄(すご)いところは、そのまま着ても十分に格好いいのに、さらに木暮修スタイルにアレンジして着こなしていたことだ。

どんなスタイルも自分流に着こなした(1973年)=共同
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