新聞の読み方でもコツがあります。例えば新型コロナウイルス対策について、「政府の対応は後手に回ってばかりでダメだな」とか、一般的な論調に同調して批判するだけというのはダメです。文句ばかり言いっぱなしの文句番長では成長できません。大切なのはニュースに接したときに、「自分が首相だったらどうするか、知事だったらどのように対応するか」と考えてみるのです。

これは企業ニュースでも一緒です。「自分がその会社の社長だったらどうするか」を、会社のリーダーとして想像してみるのです。ニュースを人ごとでなく、自分に引きつけて考える習慣を身につけるのです。これはビジネス書を読んで勉強するより、コンカレント(今起きている)な教科書となりますよ。ビジネス書のケーススタディーもとても重要なのですが、書いてあるのは何年か前の理論です。むしろ目の前の出来事を自分の先生役と見なして、生徒の気持ちで取り組んでみてください。しばらく続けていれば、スーパービジネスパーソンになれます。

コミュニケーションに王道なし

会社で働いている人なら、社長や上司が言ったこと、やったことについて、「自分ならどうしたか」を考えるのです。棋士の藤井聡太さんなど、若くてすごい棋士の人がいますよね。そうした人は目の前の将棋の盤面を見ながら、「今どう指すか」だけを見ているのではなく、過去の様々な棋譜などを思い出しながら、いわば多様な視点を持ちながら今どうすべきか、を考えているのではないでしょうか。

若い会社員だったら、役員になったつもりで考えてみる。社長のつもりで、どうするかを考える。こうした訓練を若いうちから積んでいくと、将来とても大きな差がつくはずです。ビジネスパーソンとしての考え方とかビジョンというのは、このトレーニングを通じてある程度身についてくると僕は思います。それと、この方法のいい点は誰も傷つけないし、迷惑をかけない点です。自分の頭の中で考えているだけですから。

コミュニケーションは「自分が望んだ行動を相手がしてくれるか」を考えて

もう一つ、ビジネスはチームで進めるものだし、自分のビジョンを実現するためにもコミュニケーションを重視すべきです。だけど、コミュニケーションに王道はありません。具体的には、「言った、言わない」が大事なのではなく、「相手がこちらが望んだ行動を起こしてくれたか」が大切で、それがKPIとなります。

経営者になると、見えてくるものがあります。社員として働いていると、「自分はこんなに頑張っているのに、周囲に分かってもらえない」、「部下が思ったとおりの行動をしてくれない」などと感じることがありますよね。でも、上の立場の人は結果を出してくれたかどうかを重視します。若いうちは「俺が、自分が」という意識が先走ってしまいがちですが、組織の中でどう結果をだすか、そのためにどうすべきかに重きをおくことが大切です。

松本大
1963年埼玉県生まれ。87年東大法卒、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券を経てゴールドマン・サックス証券でゼネラル・パートナーに就任。99年マネックス設立。2004年マネックス・ビーンズ・ホールディングス(現マネックスグループ)社長、13年6月から会長兼社長。08年から13年まで東京証券取引所の社外取締役、現在は米マスターカードの社外取締役を務める。

(笠原昌人)

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