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左:「玉天丼」(290円)、右:「あおさの味噌汁」(100円)

そして最後に驚きが待っていた。5000円は超えるだろうなと思って会計をすると、なんと3360円(税込み)。一瞬計算間違いではないかと確認したが、間違いなかった。これはみなリピートするのは確実だろう。

同店の人気は、ランチのコスパの良さも影響している。こちらは変わり天ぷらはなく、オーソドックスな定食ばかりだが、メインの「穴子天定食」(890円)は、アナゴ半身にエビ、旬の魚、かしわ、チクワ、野菜3種が入ってこの値段。「お好み天定食」はエビ2尾、旬の魚、かしわ、チクワ、野菜3種が入って790円だ。日比谷・有力町かいわいでは、かなりお得な値付けとなっている。こうしたランチでの人気が昼飲みや夜営業へとつながっている。

「天ぷらとワイン大塩」日比谷店は「日比谷OKUROJI(オクロジ)」の中でも一際にぎわっている

「天ぷらとワイン大塩」の本拠地は大阪。大阪で4店を展開し、東京でも日比谷店のほかに中野にも店を持つ。創業者の大塩智史氏はもともとクラウドファンディング「セキュリテ」を運営するミュージックセキリティーズ出身。創作天ぷらの草分け的な存在である名古屋の「天ぷらとワイン小島」が「セキュリテ」を利用した時の担当者で、その収益性の高さに魅力を感じ、「小島」で修業後、16年に独立した。

システムやメニューは「小島」のものを取り入れた。「天ぷらとワイン大塩」の事業会社であるアゲル(大阪市)の取締役として「小島」代表の三野正樹氏を迎え入れ、一部出資も受けている。「小島」は、まだ東京進出を果たしていないが、「天ぷらとワイン大塩」がいち早く東京進出をしたわけだ。

こうした裏側は別として「天ぷらとワイン大塩」で過ごす時間は楽しい。気軽に天ぷらを楽しめる雰囲気があるからだ。

この10年ほど、天ぷらをよりカジュアルに楽しんでもらおうという意図から、カウンター主体の「天ぷら酒場」「天ぷらとシャンパン」というコンセプトで開業した店は結構ある。ただ、そうした店が比較的正統的なネタにこだわったため、いまひとつ特徴を出せなかった気がする。同店は王道を外れ、創作天ぷらに活路を見いだしたからこそ、飲んべえや女性客の心に刺さったのだろう。異業種出身だからできたことかもしれない。

ちなみに「天ぷらとワイン大塩」の日比谷店は予約不可。時間を外していくのが得策である。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)


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