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コロナワクチン 約1380万回接種分を分析した結果は…

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

米国での新型コロナウイルスのワクチン接種開始から1カ月間に報告された有害事象のまとめを、米疾病管理予防センター(CDC)が2021年2月19日に公開しました[注1]。約1380万回の接種後に生じた有害事象の種類や頻度は、臨床試験で見られていたものと同様であり、接種との因果関係が疑われる死亡例はありませんでした。

有害事象とは
治療薬やワクチンを投与された人に発生した健康上の有害な事象のこと。その薬やワクチンとの因果関係が明らかな症状(接種部位の腫れなど)だけでなく、因果関係が不明なもの、他の原因によるもの(交通事故など)もすべて含まれる。

約1380万回接種分の有害事象報告を分析

米国では現在、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンとして、ファイザー/ビオンテック社の製品と、モデルナ社の製品の接種が行われています。いずれのワクチンも2回接種が原則となっています[注2]

米食品医薬品局(FDA)から両社のワクチンの緊急使用許可が下りた後、最初に接種を受けたのは、医療従事者や長期滞在型介護施設の入居者とスタッフでした。

CDCとFDAは、これらワクチンの安全性の監視を、かつてないレベルで慎重に行っています。今回は、CDCとFDAが1990年から管理している、ワクチン有害事象登録システムVaccine Adverse Event Reporting System(VAERS)と、新型コロナワクチンの有害事象を接種者から広く収集するために新たに構築した、スマートフォン用ツールV-safeを用いて収集したデータを分析しました。

VAERSは、医療従事者、ワクチンメーカー、一般国民から、さまざまなワクチンの接種後に観察された有害事象の提供を受けています。重篤な有害事象については、診療記録を参照したり、医療従事者からの報告を受けたりして追加情報を収集し、死亡の場合には、死亡診断書や剖検(病理解剖)の記録も参照して、接種との関係を調べることになっています。

V-safeはワクチンの接種を受けた人が自主的に参加するもので、接種後1週間は毎日調査に参加して、注射部位の状態と全身症状について回答することになっています。症状があった回答者には、その症状のために、仕事を休まなかったか、日常生活に支障がなかったか、受診しなかったか、なども確認する構成になっています。

今回CDCは、接種開始から1カ月間となる2020年12月14日から2021年1月13日までの間に、VAERSとv-safeに登録されていた有害事象に関する報告を分析しました。この期間に、ファイザー/ビオンテック社のワクチンの接種を受けた一部の人には、2度目の接種も行われました。モデルナ社のワクチンの再接種は始まっていませんでした。

[注1]Gee J, et al. CDC Morbidity and Mortality Weekly Report. February 26, 2021 / 70(8);283-288.

[注2]ファイザー/ビオンテック社の製品とモデルナ社の製品はそれぞれ2020年12月11日、同18日に米食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可が下りた。その後、FDAは2021年2月27日にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社のワクチンにも緊急使用許可を出している。J&J社のワクチンは1回接種。

アナフィラキシーは100万回当たり4.5件

対象期間に1379万4904回の接種が行われていました(うち女性に対する接種が61.2%)。まずVAERSに寄せられた有害事象の報告から見ていきましょう。

 VAERSには6994件の有害事象が報告されました。有害事象を経験した人の年齢の中央値は42歳(下は15歳から上は104歳まで)で、5505件(78.7%)は女性に発生していました。有害事象の概要を表1にまとめました。

表1 VAERSに報告された有害事象の概要

 報告された有害事象は、重篤なものと重篤ではないものに分けられています。重篤な有害事象は、「死亡」「生命を脅かす症状が発生したもの」「恒久的な障害が発生したもの」「先天奇形/異常が発生したもの」「入院が必要または入院している患者の入院期間が延びた場合」と定義されていました。

死亡は113件報告されていましたが、死亡診断書、剖検報告書、診療記録といった利用可能な記録と医療従事者からの情報を詳細に検討したところ、ワクチン接種と死亡の間に因果関係は認められませんでした。

アナフィラキシー[注3]の件数は62件でした。その頻度は接種100万回当たり4.5件であり、他のワクチンの場合とおおよそ同様でした(表2)。なお、アナフィラキシーは重篤な副作用に分類されていますが、有効な治療法が存在するため、接種会場で十分に対応できるとCDCは考えています。

表2 接種後のアナフィラキシーの発生率

[注3]アナフィラキシー:皮膚・粘膜、呼吸器、消化器、循環器など複数の臓器にアレルギー症状が現れる過敏反応のこと。皮膚の場合はじんましんや唇の腫れ、目のかゆみ、呼吸器の場合は咳(せき)や喘鳴(ぜんめい)、息苦しさ、消化器では嘔吐(おうと)や腹痛、循環器では血圧低下、意識障害などが代表的な症状。アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合をアナフィラキシーショックと言う。

予防接種との関係を示唆する死亡例はなし

続いて、長期滞在型介護施設の居住者とそれ以外の人々に分けて見ていきましょう。

VAERSに報告された有害事象の97.9%は、長期滞在型介護施設の居住者ではない人々に発生していました(引き続き表1参照)。それらのうちの5413件(79.1%)は女性に発生しており、有害事象経験者の年齢の中央値は42歳(15歳から96歳まで)でした。

重篤な有害事象は518件(7.6%)で、そこには35件の死亡も含まれていました。うち16件がファイザー/ビオンテック社のワクチン接種後に、19件はモデルナ社のワクチン接種後に発生していました。死亡した人の年齢の中央値は62歳(25歳から91歳まで)、15人(42.9%)は女性で、接種から死亡までの日数の中央値は3日(0日から20日までの期間)でした。死者35人のうち19人については、データ収集と評価が進行中で、残りの16人の死因は、心臓病、がん、脳卒中、肺塞栓症、その他の、接種前からの健康不良にあることが示されました。

一方、長期滞在型介護施設の居住者では、150件の有害事象が報告されていました。有害事象経験者の年齢の中央値は83歳(17歳から104歳まで)で、92人(61%)が女性でした。

重篤な有害事象は122件で、そのうち死亡は78件でした。ワクチン接種から死亡までの日数の中央値は2日(0日から20日までの期間)で、42人(53.8%)はホスピス入所者、または蘇生措置を希望しないと宣言していた患者でした。死亡診断書の内容を知ることができたのは17人(22.0%)で、死因は、心臓病、認知症、肺炎、老衰でした。19人(24.3%)については、現在も死因が調べられています。

研究者たちは、報告されていた死因は、そうした施設に入所している患者には一般的なものであり、施設入所者以外の人々に発生した死亡についても、死因は一般の人々に通常見られるものと同様だったことから、予防接種との関係を示唆するような、予期せぬ理由で死亡する人の増加は、これまでのところないと見ています。

再接種後のほうが有害事象は多く発生

次に、V-safeの報告です。2020年12月14日から2021年1月13日までの期間に、160万2065人の接種者がv-safeに登録し、1回以上調査に参加していました。登録者の年齢の中央値は46歳(16歳から110歳まで)で、110万6656人(69.1%)が女性でした。

局所または全身性の有害事象の自発的な報告を分析したところ、初回接種後に有害事象を経験した人の割合は、2種類のワクチンで同程度であることが示されました。ファイザー/ビオンテック社のワクチンを接種した人々のうち、23万5469人は再接種も完了していました。初回接種に比べ再接種後のほうが、有害事象は多く発生していました。特に、発熱と悪寒の報告は、初回の約4倍でした(表3)。

表3 v-safeに報告された有害事象

なお、1万825人(0.68%)が接種時点で妊娠しており、262人(0.02%)については接種後の妊娠検査で陽性になっていました。v-safeは、妊娠中のワクチン接種の影響に関する貴重な情報を提供すると期待されています。

現在使用中の2種類のワクチンの接種後に報告された有害事象は、これまでのところ、臨床試験で見られていたものと同様で、一過性の反応がほとんどであり、予想していなかった重篤な有害事象の発生は示されていません。なお、研究者たちは、今回、死亡についてのみ、因果関係に関する検討結果の一部を公表していますが、それ以外の有害事象のどれが、接種の副反応(ワクチン接種と因果関係のある体調不良)と考えられるかに関する見方は示されていません。

CDCとFDAは、国民の信頼を得るために、今後もワクチンの安全性に関する監視を継続する計画とのことです。

[日経Gooday2021年3月3日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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