10分ヘアカットは創業者の不満から QBハウスの25年キュービーネットホールディングス 入山裕左専務(上)

「QBハウス」店頭の3色シグナルは混み具合を示している
「QBハウス」店頭の3色シグナルは混み具合を示している

「10分の身だしなみ」を掲げるヘアカット専門店「QBハウス」は第1号店がオープンして25年の節目を迎えた。運営会社のキュービーネット傘下の店舗数(複数業態を含む)は585店に達し、2020年の来店客数は1562万人にのぼる。理美容業界の景色を変えた「QBハウス」は創業者の身近な不満から始まった。

創業者の小西国義氏は医療関連商品を扱う中堅商社を経営していた。出張が多く、旅先で仕事の合間に散髪店を利用する機会が多かったという。その際、混み合う店内で待たされたり、カット以外の時間を浪費されたりすることに、いらだちを覚えた。「シャンプーやひげそりなどを含めたフルサービスを提供する、従来型の総合理美容店では時間がかかりすぎると感じていたようだ」と、入山裕左キュービーネットホールディングス専務は創業者の不満を代弁する。

不満はほかにもあった。たとえば、肩のマッサージに代表される、特段、客が頼んでいない、カット以外の付加サービスの存在だ。こういったサービスは客が断れば、省いてもらえるが、「省いた場合でもその分の料金の割引は受けられないことが多い」(入山氏)。髪のセットに関しても、使い慣れた整髪料を用いて、自分で好みの形に整えたい場合は、店でのセットが二度手間になる。

席に座ってからの所要時間は客にとって「時間の支出」にあたる。だが、カットの途中で担当者が予約の電話を受けるような場合、客は放っておかれる。その時間も客の負担になるのを、「(創業者は)もったいないだけでなく、不合理だと感じた」(入山氏)。こういった無駄な時間を省いて、もっと短時間で済むようにすれば、忙しいビジネスパーソンに支持されると考えたのが創業のきっかけとなった。

使い勝手が悪いと感じる点もあった。待合スペースで長く待たされるのを避けるには、予約が望ましいが、散髪の時間をあらかじめスケジュールに組み込むのは融通がききにくくなる。決まった日時に理髪店を訪れるのは、精神的にも負担になりやすい。月曜が定休日のケースが多かったことも、仕事の空き時間に出先でカットを済ませたいというニーズになじみにくかった。「創業者はこうした課題を解決しようと考え、1995年にキュービーネットを起業した」(入山氏)。55歳のときだった。

自らが募らせた不満から、サービス内容はカットに絞り込んだ。利用者に分かりやすく「10分」とうたって、ヘアカット専門店を名乗った。「セットやブローを省くことによって、かかる時間を短縮できた。サービスを付加して価値を高めるのではなく、減らすことで満足度を向上させるという『引き算』の発想。我々は時間ビジネスを手がける『時間創出企業』だ」と、入山氏は既存の総合理美容店とのコンセプトの違いを際立たせる。

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