となると、先ほど示したように、安定的大企業であればゼネラリスト育成のためのキャリアパスとなります。だからその会社にい続けるつもりなら、会社としてもプラスの意向であることが多いので受けた方がよいでしょう。

しかしそうでない企業では、今いる職種で今後の成長や成果が期待できない可能性が高いから異動対象となる場合もあります。これは自分自身のキャリアの面でもマイナスとなりますので、転職活動を考えた方がよいかもしれません。

次に全国に多くの支社を展開しているタイプの企業で考えてみましょう。各支店に総務も営業も企画も配置されているような企業の場合には、転居を伴う異動が職種間移動を伴わないこともあります。

この場合の会社側の異動意図は、個人ではなく、業績都合によることが大半です。

それがプラスの異動となるのは、今後の成長を期待する支店への異動であったり、あるいは同じ職種でも少し責任範囲が広がるような異動であったりする場合です。そのような異動においては、会社での出世可能性が高まるため、自分自身のキャリアアップの方向性と合致しているのであればぜひ受けましょう。

一方でマイナスとなる異動というのは、明らかに責任範囲が狭くなったり、今後の成長を期待されていなかったりする支店への異動です。仮に口頭で期待を示されたとしても、その後、あなた自身がいた部署にどのような人材が配置されたかを見れば、その先が見えてきます。

たとえば若手の成長株があなたの後釜として配置されたのであれば、あなたの異動は左遷的な要素を含んできます。

一方で、あなたの後に誰も配置されてないとか、あなたよりも年長の社員が配置されるようであれば、口頭での期待はまだ信じてよいかもしれません。一時的につらい状況に置かれるかもしれませんが、それを乗り越えれば、社内で出世できる可能性は残されています。

選択肢は常に持っておく

重要なことは、あなたが今の会社でずっと働き続けたいのか、あるいは良いチャンスがあれば別の会社に行くことも考えたいのか、ということです。そのことについて、ぜひ自分のキャリアの視点から、あらためて考えてみてほしいと思います。

実際のところ、安定的大企業に就職して、転職を前向きに考える人の数はまだ少数派です。

そんな時、今いる会社にい続ける選択肢しか想像していない場合には、まさかの異動命令の際に黙って従うしかなくなってしまいます。

しかし確率は低くとも、異なるキャリアを選択肢として考えておくことができれば、転職を含めた検討が可能になります。

安定的大企業にいる人にこそ、ぜひ自分自身のキャリアを見つめなおしてほしいのです。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。

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