一方で、企業内部に目を向けると閉塞感がまん延しています。特に、定年後再雇用をされたシニア層で深刻です。職場内にいる、こうした「不活性シニア」が思い当たりませんか。例えば、余計な仕事を増やす、時代錯誤の経験則を押しつける、職務遂行に必要な知識が足りない、チャレンジすることから逃げ与えられた職務だけをこなそうとする、といった人たちです。

このような人材は企業のイノベーションを阻害し、現役社員のエンゲージメント(働きがい)を低下させる要因となってしまいます。このため、人事部門では取り扱いに苦慮しているのが実情です。

定年雇用制度と年功型賃金の見直しが不可欠

こうした人材が生まれた要因のひとつに、日本の定年雇用制度と年功型賃金制度があります。ある年齢に達すると強制的に退職させられ、報酬が一律に減額する仕組みでは社員の働く意欲は起きず、「ぶら下がり社員」の増加につながります。このような不活性シニアを今後も輩出しないためも、定年雇用制度を改めて、60歳以降も能力に応じて処遇される雇用の仕組みを作ることが必要です。

自律的なキャリア構築の準備を

では、ビジネスパーソンは今後のキャリアをどう考えればよいのでしょうか。これからの時代は会社での役割・職務・ポジションと報酬がセットになり、それに見合う能力・経験を有する人材を配置するような仕組みになっていくでしょう。また、年功賃金、定年制度といった日本の雇用システムが限界を迎えるなか、今のまま会社に寄りかかっている姿勢は得策とはいえません。その時になって慌てないように自律的にキャリアを見据え、以下の図のような準備をしておく必要があります。

その上で、今後何を学び、経験すべきかのキャリアプランを立案するのが効果的です。このように、自らキャリアのゴールを設定し、知識・スキルを蓄積することに加えて、どんな役割・ミッションの下でその経験を積んできたのかを明確にすれば、転職などで対外的に説明する際に大きな説得力になります。また、日本では職務横断型の労働市場が整備されていないため、職務とそれに応じた職務価値(報酬水準)が必ずしも明確でないケースが見られます。前述したように、転職後に能力のミスマッチが起きる場合も多く、注意が必要です。

油布顕史
組織・人材マネジメント領域で20年以上のコンサルティング経験を有する。大手金融機関・製造業・サービス業界の人事改革支援に従事。事業会社、会計系コンサルティングファームを経て現職。組織人事にまつわる変革支援-組織設計、人事戦略、人事制度(評価、報酬、タレントマネジメント)の導入・定着支援、働き方改革、組織風土改革、チェンジマネジメントの領域において数多くのプロジェクトを推進。企業向けの講演多数。
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