野鳥で最高齢記録更新 70歳のアホウドリがヒナかえす

日経ナショナル ジオグラフィック社

2021/3/29
ナショナルジオグラフィック日本版

2020年11月。今年70歳になったウィズダムが、ミッドウェー環礁国立自然保護区で卵を温める(PHOTOGRAPH BY JON BRACK / FRIENDS OF MIDWAY ATOLL NWR / USFWS)

70歳のレイサンアホウドリの「ウィズダム」が2020年11月下旬にまた卵を産み、2021年2月1日にふわふわのひながかえった。

米ハワイ州ホノルルの北約1600キロメートルにあるミッドウェー環礁国立自然保護区には、毎年秋になると100万羽ものレイサンアホウドリが戻ってくる。島々には白い海鳥たちが点在し、それぞれがソーダ缶大の卵の上に座っている。オスもメスも、チャコールグレーで隈取りされたような目と、広げれば左右で約2メートルにもなるチョコレートブラウンの翼を持つ。

中でも、ウィズダムは特別だ。Z333番の赤い足環を付けた彼女は、これまで知られている中で最も高齢の野生の鳥とされている。

「ウィズダムが帰ってくると、いつもほっとします」。ミッドウェーでアホウドリの寿命を研究している米国魚類野生生物局の生物学者、ジョン・プリスナー氏はそう言う。

ウィズダムについて、科学者たちはすでに多くのことを知っている。1930年代後半以来、26万羽以上のアホウドリを識別している長期的な研究プロジェクトの一環として、1956年に足環を取り付けられたこと。彼女が巣作りをするお気に入りの場所はどこかということ。そして、少なくとも過去11年のうち8年はそうしてきたように、昨年も卵を産み、ひなを育てていること。

それでも、ウィズダムと彼女の仲間たちについて、科学者たちがまだ知らないことはたくさんある。例えば明らかな問いはこれだろう。彼女はどのくらいまで生きるのだろうか?

「本当に見当もつかないんです」とプリスナー氏は言う。「彼女が例外であるかどうかもわかりません。単に、私たちが知っている中では、彼女が最も年齢を重ねた個体だということです」

2012年1月、ナショナル ジオグラフィックの協会付き研究者であるシルビア・アール氏が、ミッドウェー環礁の一部であるサンド島でウィズダムの隣に座る。アール氏は海洋生態系研究の先駆者の一人だ(PHOTOGRAPH BY SUSAN MIDDLETON)

過去15年間、プリスナー氏のチームは、レイサンアホウドリのひなに足環を付け、50メートル四方の区画内にある巣を作る個体の番号を記録してきた。これらはいずれ、彼らの寿命に関するデータを提供してくれるだろう。プリスナー氏によると、課題はアホウドリの寿命が非常に長く、研究者の寿命を簡単に超えてしまうことだ。

ウィズダムの場合もそうだ。彼女に足環をつけた魚類野生生物局の生物学者、チャンドラー・ロビンス氏は、2017年に98歳で亡くなっている。

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「ウィズダム」という名前の理由
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