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ワーケーションは定着する? 企業の意識どう変わるか

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NIKKEI STYLE

観光庁が「ワーケーション」の普及・定着に向け、2021年度政府予算案に約5億円を計上しました。リゾート地や温泉に滞在しながら、テレワークなどを活用して働くワーケーション。新型コロナウイルスの感染拡大を機に国や自治体の間で関心が高まっています。

ワーケーションはWork(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語です。働き方改革の一環で注目され、19年11月にはワーケーション自治体協議会が設立されました。当初は65自治体の参加でしたが、今では172自治体。設立を呼び掛けた和歌山県情報政策課は「昨夏から急増している。コロナ禍で旅行需要が減るなか、観光振興策として関心が高まっている」と説明します。

リモートワークが可能なら島で暮らしてみるのも、ありかもしれない――。長崎県五島市はこんなキャッチコピーで島暮らし体験会を19年度に始めました。通信環境の整ったオフィスや保育サービス、観光ツアーなどを市が準備し、3~9泊程度滞在してもらいます。今年1月の体験会は緊急事態宣言に伴い中止しましたが、定員50人に90人が応募。「関東からの希望が多く、島に魅力を感じてくれている。感染が収束したら、早く再開したい」(市地域協働課)

三菱総合研究所は「逆参勤交代」という名称で、17年から新たな働き方を提唱しています。地方の人口減は深刻です。江戸時代の参勤交代とは逆に、都市居住者が期間限定で滞在型リモートワークをすれば関係人口が増え、地方創生も可能です。

ただ、主席研究員の松田智生さんは「足元の誘致合戦は一過性のブームになりかねない」と指摘します。熱心なのはIT(情報技術)系など一部の人たちで、限られたパイの争奪戦は不毛です。課題は一般企業をどう動かすか。「バケーションだと『旅行の片手間に仕事』という先入観がある。SDGs(持続可能な開発目標)の観点から地域貢献と結びつけるなど、新たなワーケーションを打ち出さないと企業は動かない」

普及のカギは企業側の意識改革です。

ユニリーバ・ジャパン(東京・目黒)は19年7月から社員にワーケーションを推奨しています。8自治体と協定を結び地域交流事業への参画も促しています。「接点のない地域の人との交流で新しい発想が生まれ、イノベーションも期待できる」(広報担当)といいます。

ワーケーションは地域、働く人、企業の3者に利益をもたらす可能性があります。心身のリフレッシュ以上の効果をいかに企業にアピールできるか。自治体の知恵も試されます。

松田智生・三菱総合研究所主席研究員「定着へ、効果の『見える化』不可欠」

三菱総合研究所の松田智生主席研究員は地方創生の手段として「逆参勤交代」を長年提唱しています。人口が減少するなかで、都市と地方の間で人材を奪い合うよりも、都市居住者が期間限定で地方に滞在しリモートワークをすることで、関係人口を増やす狙いです。ワーケーションの期待と課題を松田氏に聞きます。

――ワーケーション(=逆参勤交代)は地方と企業、働く個人のそれぞれにどんな利点があるのですか。

「人口が減ると地方経済はどうしても市場が縮小します。でもワーケーションを実現し、都市居住者を受け入れられれば消費がその分、喚起されます。首都圏と近畿圏にある大企業(従業員1000人以上)の社員は約1千万人います。その1割が年1カ月逆参勤交代したら、消費額ベースで年間1千億円の市場を創出できます。滞在中の消費活動に加えて、ワーケーションを支えるためのオフィスや宿泊施設などで雇用も生まれます。つまりネットワーク化で外力を取り込み地域の価値を最大化する狙いであり、都市と地方の自律分散協調モデルといえます」

「働く個人にとってはワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)が実現しやすくなります。自然環境に囲まれて働けば心身もリフレッシュでき、仕事へのモチベーションもあがるでしょう。セカンドキャリアを考えるシニア層ならば、ワーケーション先で新たな活躍の場と巡り合えるかもしれません」

「ワーケーションに経営上の利点をなかなか実感しにくいかもしれませんが、会社にも多面的な利点はあります。まずは社員のリフレッシュを図れ、健康経営が実現することです。ストレスが解消できればメンタルヘルス問題も減り、社員の生産性が上がります。さらに人材育成効果も見過ごせません。違う環境で働くことで新しい発想も生まれ、都市では交流機会がない地方の異質な人材と交流するなかで良い化学反応が起こり、ローカルイノベーション的な新規事業が芽生える可能性もあります」

――ワーケーションは将来性が期待できる働き方のようですね。

「地方と企業と個人の三方一両得を実現できると私はみています。ただ現状はまだそこまで至ってません。ワーケーションに対する一般的な認識は自然豊かな場所でパソコンに向かって仕事をこなす程度。それでも心身のリフレッシュや、落ち込んだ観光需要の代替は期待できますが、そんなバケーション型ワーケーションだけでは波及効果が限られ、もったいない気がします。せっかく人が行き来するのですから、交流(コミュニケーション)、学び(エデュケーション)、貢献(コントリビューション)という『脱・バケーション型』を促す仕掛けが大切です」

「それは地方に限らず、働く個人にも有効です。例えば地域の特産物の販売プロモーションの立案です。日ごろ経験しない仕事に携わる貴重な機会となります。その経験が糧になり、能力開発ややる気向上につながります。ホテルやレンタルオフィスに閉じこもって日常業務をしているだけでは得られない成長が期待できます」

――足元でのワーケーションへの関心の高まりに懸念も抱いているそうですね。

「働き方改革で提唱されたプレミアムフライデーのように一過性のブームで終わらないかが心配です。自治体は熱心に誘致合戦を繰り広げていますが、働く人と社員を送り出す企業はさほどワーケーションに熱を上げていないのが実情ではないでしょうか。コロナ禍でテレワークが広がり、いつでもどこでも働ける環境が広がったとはいえ、就労管理に課題が残ります。『リゾート地で本当に仕事になるのか?』。企業の心配は相変わらずです。働く側も、同僚が都市のオフィスで働いているのに自分だけリゾート地で働くことに気兼ねがあります。日本ではバケーション型のワーケーションは今も高いハードルです」

「ここ数年、確かに関心は高まっていますが、実践者はフリーランスやベンチャー企業の勤務者など一部のスモールボリュームです。パイを広げる工夫もせずに、限られたワーケーション人口を自治体で奪い合うのは不毛です。重要なのは一般企業を中心としたマスボリュームの巻き込みです」

――定着への課題は何ですか。

「まずは官民が連携したプラットフォーム構築です。都市部の人材は、どこでどんなワーケーションができるのか、宿泊施設やサテライトオフィスのハード面に限らず、地域との交流事業などソフト面の情報が実はよく分からない。また地方は、都市部のどんな企業や人材が地方に関心を持っているか分からない。こうした都市と地方間の『情報の非対称性』を、このプラットフォームで解決します」

「そして企業を巻き込むために、ワーケーションの費用対効果も数字でしっかり示すこと。ストレス低下やモチベーションアップ、地方での発想を生かした新規事業開発、地方企業との連携などの実績を見える化することです。三菱総合研究所の調査では大企業の経営幹部の約7割がワーケーション(逆参勤交代)に関心を持っています。ただ課題として挙げられたのが『費用対効果』です。効果をデータで裏付けできれば一気に広がる可能性もあります」

「地域経済のためには、新型コロナ禍が収束したら、法人版『Go Toトラベル』事業も考えてはどうでしょうか。個人のGo Toは短期滞在なので、法人の長期滞在型のワーケーションを実施する企業に対して、交通費や宿泊費を支援するのです。当面インバウンド需要は見込めません。地方の観光施設、ホテルの稼働率が高まる一方で、ワーケーション効果を企業に実感してもらえれば普及の呼び水になるでしょう」

(編集委員 石塚由紀夫)

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