Men's Fashion

コロナの今、唇の魅力伝える 盛らないメークの伝道師

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2021.3.15

素肌の美しさを生かした「盛らない」メーク手法で、日本でも多くのファンを持つニューヨーク在住のメーキャップアーティスト、吉川康雄さんが自身の化粧品ブランド「UNMIX(アンミックス)」を立ち上げた。最初に投入するアイテムは口紅だ。化粧品はコロナ禍で大打撃を受けているが、「マスクをしている今だからこそ唇の大切さに気付いてほしい」と発売に踏み切った。アンチエイジングに異を唱え、ありのままの美しさにこだわってきた吉川さんが、コロナ禍で考えたメークの価値観や、男性の美容について聞いた。




――百貨店では感染対策で化粧品のお試しがNGとなり、マスク生活が口紅の売れ行き不振に拍車をかけています。リモートワークではノーメークという人も多いですね。そうしたなかで化粧品「UNMIX」を発売した理由は何ですか。

「在宅で仕事をし、常にマスクをつける生活が世の中に浸透していますが、ストイックに1人で仕事をする日々って、やはりきついですよね。美容でいえば、コロナ以前から広がり始めた『自分を大切にするムーブメント』が世界中で徹底的に強まったな、と感じています。メークは売れないといわれますが、ていねいに自身をお手入れする人が増えて、スキンケア、ヘアケアなどは逆に伸びてきています。男性も美容への関心が高まっていますよね」

デビュー商品のUNMIX モイスチャーリップスティック(上、3960円)とUNMIX モイスチャーリップベース(3630円)4月から公式サイト(https://unmixbeauty.com/)などで販売する

「2年前にUNMIXの開発に着手し、半年前に発売するはずでしたが延期しました。こんな時期に売っても失敗する、ワクチンが世の中に普及してマスクを外していい時間が増えたときに登場させたい、と考えたのです。ところが、そのタイミングがなかなか来ない。それで、1年間唇を見せていない今だからこそ、唇の魅力、唇が顔の印象にとってどんな役割があるのかというメッセージを発信する意味がある、と発想を転換しました」

「マスクを外すとき」のストレスなくす

――唇は表情にどのような作用を及ぼしますか。

「唇は顔の中で唯一、血色が自然と表に現れている部分。顔に生命感、エネルギーを与え、セクシーさも含めたすべての華やかさにつながっていきます。マスクで口を隠すと、表情はいわばモノトーンとなってしまう。だから、唇は大切です。表情のバランスを整える役割もあります。強めのアイメークを唇で中和する。唇のメークで全体のコントロールができるのです」