さすがに都会のお坊ちゃまは違うなと思った体験もあります。音楽の授業で、自分の好きな楽器を披露する機会がありました。中学時代からバンドを組んでいたので、当初はエレキギターを演奏しようと思いました。音楽の教師が「クラシックならいいよ」というので、なんとか3万円を捻出してクラシックギターを買い込み、授業に臨みました。

周りを見渡すと、ピアノやバイオリンを弾いたり、フルートを吹いたりする同級生がたくさんいました。しかもプロ顔負けの腕前であぜんとしました。ちなみに、その音楽教師の娘は女優の紺野美沙子さん。当時、慶応女子高の生徒でしたが、女優デビューしたときはかなり話題になりました。そんな音楽の授業がそれまでのロック一辺倒から、クラシックの魅力に目覚めるきっかけとなりました。

塾高には個性的で教養重視の教師が多かった。

「高校生なのに大学生気分で都会の生活を堪能した」と塾高時代を振り返る

受験勉強を意識することもありませんから、アカデミックな内容の授業を先生が好き勝手にやっているわけです。東京大学の講師を兼務しているような学究肌の先生や当時は太平洋戦争を実際に経験したベテランの先生が少なくなかった。数学の先生は学徒兵出身で爆撃機のパイロットだったので、授業中に戦争体験をよく話していました。

塾高生の気分は大学生と変わりません。塾高は慶応義塾大学の日吉キャンパスに隣接していますが、年間の授業日程も大学に準じています。夏休みは7月初旬から始まり、2カ月間と長い。春休みも2月下旬から4月初旬までたっぷりあります。通常の授業は15時に終わり、部活のない日は、東横線で15時19分に渋谷駅に着いてゲームセンターやボウリング場で遊びほうけ、都会の生活を堪能しました。

同学年には著名人が多くいます。今一番有名なのは行政改革担当大臣の河野太郎君でしょうね。確か競走部で主将だったと思います。ファーストリテイリングやローソンの社長を務めたデジタルハーツホールディングス社長の玉塚元一君も、ラグビー部で活躍していました。東京タワーを運営するTOKYO TOWER社長の前田伸君もいます。千葉の有名な観光牧場「マザー牧場」の経営者でもあり、父親は産経新聞を創業した著名な実業家だった。ほかにも味の素の創業家一族など御曹司はたくさんいました。

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