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SDGsで売り上げ8倍 ミツカンの植物丸ごと「ZENB」

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日経クロストレンド

SDGs(持続可能な開発目標)の中でも早急に取り組むべき課題とされている食品ロス問題。ここにアプローチするのが、ミツカングループの「ZENB(ゼンブ)」だ。

2019年3月発売の「ZENB」は、普通は捨ててしまう植物の皮や芯・さやなども捨てずに使用することで環境負荷や食品ロスを減らし、素材本来のおいしさや栄養素を引き出す。まるごとの野菜をペーストにした「ZENB PASTE(ゼンブペースト)」や、まるごとの野菜に雑穀・ナッツを加えたスティック「ZENB STICK(ゼンブスティック)」、一口サイズの「ZENB VEGE BITES(ゼンブベジバイツ)」などがある。20年9月に発売した豆100%の乾麺「ZENB NOODLE(ゼンブヌードル)」は、人気のあまり、一時欠品状態にもなった。20年3~12月のブランド全体の売り上げは、前年同期比8.5倍に伸びている。

ZENBは、SDGsの目標12「つくる責任・つかう責任」にミツカンが本気で取り組もうとする象徴であり、18年11月から取り組む「ZENB initiative(ゼンブイニシアティブ)」の一環として生まれた。ミツカンは18年に10年先の未来を見据えた「ミツカン未来ビジョン宣言」を発表した。ZENB initiativeでは、同宣言のビジョンの一部である「人と社会と地球の健康」「新しいおいしさで変えていく社会」を実現するため、外部の多様なプロフェッショナル(シェフや料理研究家、学者や管理栄養士など)と協力しながらさまざまな活動を展開している。ZENBも、多様なプロフェッショナルの意見を取り入れながら開発したという。

独自の技術でおいしさを引き出す

ミツカンがZENBの開発で特に気を使ったのが、商品の味わいだった。「どんなに体に優しい食品でも、おいしくなければ食べ続けられない。『おいしい』と『カラダにいい』を両立することが重要だった」(ミツカンホールディングス新規事業開発プロジェクトの長岡雅彦氏)

ZENBでは、素材をまるごと、無駄なく使う提案をしているが、野菜の皮や芯をおいしく食べるためには、味や食感を良くするための工夫が不可欠だった。また、体に負荷をかけないために、塩分などの添加物でおいしさを表現するのではなく、素材本来のおいしさを表現したかった。

そこで使用したのが、ミツカンが長年の研究で生み出してきた独自の技術。素材である野菜や豆、穀物などを、それぞれの特性に合わせた方法で濃縮し(トウモロコシならゆでて甘さを出す、パプリカなら生のまま使用してフレッシュさを表現するなど)、滑らかにすり潰すことで、素材本来のおいしさや色合いを引き出した。

20年9月に新発売した豆100%のZENB NOODLEは、構想から発売までに約3年かかったという。

「ZENB NOODLEは素材に黄えんどう豆を使用している。黄えんどう豆は、日本では知名度が低いが、北欧やロシアでは伝統的に食べられてきた食材。たんぱく質と食物繊維が豊富で、生育過程で必要な水資源も少なく、地球環境にも優しい。そんな黄えんどう豆をうす皮までまるごと使用し、ライスやパンに代わる新しい主食を提案したかった」(長岡氏)

しかし、豆100%で「おいしい」麺を作るのは容易ではなかったという。試作段階のZENB NOODLEでは、豆独特のボソボソとした食感や臭みが残ってしまっていた。ミツカンが保有するさまざまな技術を掛け合わせながら、それらの課題をクリアしていった。外部のシェフなどの意見も参考にしながら、何度も試作を繰り返した。

ZENB NOODLEは、栄養価が高いことに加えて、パスタやうどん、ライスに比べて糖質を約30%オフできる。幅広いレシピに活用できるため、毎日飽きずに食べ続けられる。ボディービルダーやベジタリアンにも人気で、SNSで紹介される機会も多い。

ZENBでは、素材をまるごと使用していることを伝えるため、パッケージも工夫した。ブランドロゴやパッケージデザインは、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏が担当した。

ブランドロゴでは、ロゴの一部に葉っぱのシンボルを使い、ナチュラルさを表現。同時に、新しい技術を使用していること、体に優しく、食として楽しいことも大切にした。ZENB STICKなどのパッケージでは、野菜そのものではなく、あえて野菜の断面を見せることで、野菜に対する新しい印象やおいしさを伝えた。

「新しい主食」として開発したZENB NOODLEは、主食としての王道感を大切に、飽きずに長く食べられる、ずっと残っていくようなデザインにしたという。

ZENBの考え方に共感広がる

ZENBのプロモーションもユニークだ。ZENBはスーパーやコンビニエンスストアでは販売しておらず、公式EC(電子商取引)サイトを中心に販売している。その理由は、「ブランドの考え方や価値を、直接伝えたうえで販売したいから」だという。

ブランドの考えを伝え、購入につなげるためのさまざまな仕掛けも用意している。

例えば、19年9月には東京ミッドタウン「21_21DESIGN SIGHT」(港区・赤坂)で、展覧会「野菜とデザイン」を開催した。同展覧会では、デザインの切り口で野菜の機能美や栄養、おいしさ、普段「食べている部分」と「捨てている部分」などを紹介しながら、ZENBの世界観を紹介。商品の試食・販売のスペースも用意し、おいしさも体験できるようにした。

食品ブランドがこうした展覧会を開催するのは珍しいが、デザイナーの佐藤氏が「ブランドとの出合いの場が美術館であることに意味があるのではないか」と提案したのだという。同展覧会は12日間で約1万人を動員。美術やデザインに興味がある人たちだけでなく、SDGsや食品ロス問題に関心のある人々も集めた。

また、多様な飲食店とコラボレーションしている。コラボ先では、ZENBを使ったオリジナルのメニューを提供し、商品も販売。その際も、POPなどでZENBの考え方をしっかり伝えている。ZENBの考え方に共感したシェフから、「ぜひコラボしたい」と言われたこともあるという。「シェフ同士で話題に上ることも多いようで、人から人に伝えてもらっていると感じている」(長岡氏)。

SNSや口コミなどでZENBを知った消費者は、「気になるけど、実際に食べてみないと分からない」と考えることも多い。野菜まるごとの味わいや食感を想像できず、本当においしいか不安に思うからだ。こうしたコラボレーションがZENBのおいしさを伝え、購入を促すきっかけにもなっている。

(ライター 近藤彩音)

[日経クロストレンド 2021年3月3日の記事を再構成]

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