こんなにある、Wi-Fi 6ルーターに買い替える理由
Wi-Fi 6は、Wi-Fi 5よりもかなり速い。PC21編集部が実施したテストでは、条件次第で2倍以上も高速だった。有線LANよりも速い(図5)。もし、Wi-Fi 6対応パソコンやスマホが手元に1台でもあるのなら、今すぐにでもWi-Fi 6対応のルーターを導入するのがベストだ。
Wi-Fi 6で通信できるのは、対応機器同士の接続に限られる。Wi-Fi 6対応のパソコンやスマホを持っていても、Wi-Fi 6ルーターがなければ性能を生かしきれない。従来のWi-Fiルーターと同様、Wi-Fi 6対応ルーターも過去の規格と互換性が保たれており、Wi-Fi 5や4対応の機器とも接続できる。ただし、その場合、過去の規格の速度となる(図6)。
とはいえ、手元にWi-Fi 5対応機器しかなくても、Wi-Fi 6対応ルーターに買い替える理由はある。メーカーによるとWi-Fi 5対応ルーターよりも高性能なCPUを搭載しているため、性能に余裕があり安定した通信ができるという。また、Wi-Fi 6ではデータの転送方法に「OFDMA」を採用しており、通信の効率が向上した。従来の「OFDM」では個別に通信しなければならなかったが、OFDMAは一度に複数の機器と通信できるため効率が良い(図7)。
Wi-Fi 6対応ルーターでWi-Fi 5対応機器を高速化
Wi-Fi 6対応ルーターを導入することで、Wi-Fi 5対応の機器でも条件がそろえば速度は上がる。従来のWi-Fi 5対応ルーターの多くは、電波の幅を示す帯域幅が80MHzと狭かったが、Wi-Fi 6に対応するルーターの上位機種はその倍の160MHzに対応している。帯域幅が広いと、その分通信は速くなる(図8)。
160MHzの帯域幅は、連続した160MHzの帯域幅を使う仕組みの「HT160」と、2つの80MHzの帯域幅に分けて使う仕組みの「80+80MHz」の2つがある。そのうちHT160はWi-Fi 5でも対応するパソコンがあり、HT160対応のWi-Fi 6ルーターと組み合わせると速度が向上する。
ノートのWi-Fi 6化はUSB接続子機の登場に期待
手持ちのパソコンをWi-Fi 6に対応させるには、デスクトップパソコンなら拡張ボードを挿せばよい。ただし、ノートパソコンで利用できるUSB接続タイプの子機は、21年2月現在販売されていない。海外では発表されており、近いうちに登場するとみられる。内部に拡張ボードでWi-Fiを搭載しているノートパソコンであれば、Wi-Fi 6のボードを入手して自分で交換する手もある。ただし、交換は自己責任だ。
[注]Wi-Fi 6ルーターはバッファローの「WXR-5950AX12」を使用。Wi-Fi 6パソコンはレノボ・ジャパンの「シンクパッドX1カーボン2015年モデル」(ボードをインテルWi-Fi 6 AX200に交換しWi-Fi 6対応に改造)、Wi-Fi 5パソコンは「同2019年モデル」(インテルWireless-AC 9560搭載)を使った。Wi-Fiルーターから1メートル離れた場所で、「LAN Speed Test」(Totusoft)で計測したダウンロード時の最大速度を結果として採用。
(ライター 田代祥吾)
[日経PC21 2021年4月号掲載記事を再構成]