「Wi-Fi 6」が本格普及 ルーター見直しネット高速化

日経PC21

写真はイメージ=PIXTA
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2020年の夏ごろから「Wi-Fi 6」が本格普及しつつある。Wi-Fiルーターを販売する各メーカーは、主力製品をすでにWi-Fi 6対応ルーターに切り替えており、ここ1年で数多くの製品が登場した。以前はハイエンドクラスの高価な製品が中心だったが、最近は実売で1万円前後の製品も増えており、これまでよりかなり購入しやすくなった。価格は1世代前の「Wi-Fi 5」対応ルーターの上位モデルとほぼ変わらない(図1)。

図1 「Wi-Fi 6」に対応したルーターはWi-Fi 6対応のパソコンやスマホが続々登場するのに伴い、1万円前後の低価格な製品も多く登場している。価格は、1世代前の「Wi-Fi 5」対応ルーターの上位モデルとほぼ変わらない

Wi-Fi 6に対応するパソコンやスマートフォン(スマホ)も、この1年でかなり増加した。現在売られている最新パソコンは、一部の下位モデルを除き、ほぼすべてでWi-Fi 6に対応する。インテルの第10世代コアi以降は、CPUにWi-Fi 6のコントローラーを搭載することもあり、それも普及を後押ししている。

スマホやタブレットも、最新モデルのうち格安製品を除く多くがWi-Fi 6に対応する。有名どころだと最新の「iPhone」の全機種や「エクスペリア」の上位機種などが、Wi-Fi 6対応だ。パソコンやスマホだけでなく、ゲーム機にもWi-Fi 6対応機器がある。家電や組み込み機器などでも、これからはWi-Fi 6が徐々に浸透するとみられる(図2)。

図2 現在売られているパソコンは、一部の下位モデルを除きほぼすべてがWi-Fi 6に対応する。最新の「iPhone 12」や「エクスペリア 5 II」など、Wi-Fi 6に対応するスマホも多い。「プレイステーション5」といった最新ゲーム機も対応する

Wi-Fi 6で1.4倍に高速化、セキュリティーも強化

Wi-Fi 6の正式な規格名は「IEEE802.11ax」(以下、11ax)で、無線LANの最新規格となる。Wi-Fi 6とは規格をわかりやすくするための愛称で、Wi-Fi 6の「6」は6世代目の規格を意味する。それに伴い、以前の「IEEE802.11ac」は「Wi-Fi 5」、「IEEE802.11n」は「Wi-Fi 4」と呼ぶ。この愛称は規格名とともに、Wi-Fi対応製品のパッケージや製品仕様などに記載される(図3)。

図3 Wi-Fi 6の規格名は「IEEE802.11ax」。Wi-Fi 6は規格の愛称で、「6」はWi-Fi規格の6世代目という意味だ。ちなみにWi-Fi 6の拡張規格として、6GHz帯の電波を使う「Wi-Fi6E(エクステンデッド)」も準備されているが、現在の日本の法律では利用できない

Wi-Fi 6はWi-Fi 5から通信速度が高速になった。規格上の最大速度は9.6Gbpsで、Wi-Fi 5の6.9Gbpsよりも約1.4倍も速い。1ストリーム当たりの速度も同様に約1.4倍に向上している。利用帯域も、11acの5GHz帯のみから、2.4GHz帯も再び使われる。ただし、速度が出るのは5GHz帯のみ。また、多くのWi-Fi 6の機器で帯域幅が従来の80MHzの倍となる160MHzに対応する。帯域幅が2倍になることで、速度はかなり増す。

図4 Wi-Fi 5(IEEE802.11ac)から最大速度が大幅にアップした。セキュリティー面でも暗号化方式に「WPA3」を採用、脆弱性のある「WPA2」の不安を取り除いている。さらに、「TWT」という省電力機能が追加され、対応機器では待機時の消費電力を軽減できる

Wi-Fi 6は「OFDMA」というデータ転送方式を採用し、複数台での同時通信時の効率を向上している。また、以前から使われている「MUーMIMO」も強化された。セキュリティー面も強化されており、暗号化方式には脆弱性が見つかった「WPA2」を改良した「WPA3」を採用する。さらに、対応機器同士で非通信時に大幅に消費電力を減らせる「TWT(ターゲットウェイクタイム)」と呼ぶ省電力機能を盛り込むなど、Wi-Fi 5から、大幅に進化している(図4)。

Wi-Fi 6をいま買って損なし

Wi-Fi 6は5GHz帯と2.4GHz帯を利用するが、さらに6GHz帯を利用する「Wi-Fi 6E(エクステンデッド)」と呼ぶ拡張規格も準備されている。ただし、Wi-Fi機器の相互接続を検証するWi-Fiアライアンスの認証プログラムは、最近開始されたばかり。機器の登場は当分先になるだろう。また、現在の日本ではWi-Fiで6GHz帯の電波を利用することはできず、法整備も必要になるので、国内で使うのは難しい。そのため、しばらくは日本の市場に登場しない。

11axの次の規格として、「IEEE802.11be」が予定されているが、まだ準備が始まったばかりで、規格策定は24年の予定。過去の規格が予定通りに登場しなかったことから判断すると、実際にはそれ以上先になると予想される。こうした状況から考えると、Wi-Fi 6対応ルーターを今買っても、当分の間は最新規格として利用できる。

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