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浜田雅功とスーダラ節 出前館のCMはなぜ成功したか

売れるCMキャラクター探偵団

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NIKKEI STYLE

日経クロストレンド

ダウンタウンの浜田雅功がスーダラ節に乗せ「出前がすいすいすい~」と歌う、料理の宅配を手掛ける出前館のCMを目にした人も多いだろう。このCMで同社の新規顧客数は大幅にアップ。その背景に役員自らが陣頭指揮を執った広告戦略の改革があった。これまでWeb広告に充てていた広告費の半分をテレビ広告につぎ込んだ作戦が当たった。

明確すぎるターゲット層が裏目に出た前作

出前館のCDO(チーフ出前オフィサー)を務めるダウンタウン浜田雅功の歌が印象的なCM。配達員のカットも挟みながら、出前商品がすいすいと、さらに熱々の状態で届くことを歌に乗せて訴求する。

このCMが2020年7月に放映されて以来、ブランド認知率は右肩上がり。21年1月には放映直後に比べて約22ポイントアップし、79.9%に上った(「LINE Research Platform」を活用した、スマートフォン調査)。CM総合研究所が実施した同月の銘柄別CM好感度ランキングでも、初めて3位にランクイン。出前館のCMが消費者にいかに浸透したかがうかがえる。

このCMで初めて「出前館といえば浜ちゃん」のイメージを持った人も多いだろう。浜田が同社のCDOに就任したのは19年12月で、「たまには出前でええやん」と忙しいお母さんの背中を押すCMを放映していた。

しかし、出前館の取締役COO(最高執行責任者)の藤原彰二氏はこの前作について、「反響は無風状態だった。スーダラ節バージョンと同等のGRP(延べ視聴率)投下数だったにもかかわらず、認知率は低く、CM自体を知らない人が多かった」と振り返る。その原因を「ターゲットが限定的すぎた」と分析する。「日常食としての出前の活用」を訴えるべく共働きで忙しい主婦層に狙いを定めたものの、明確すぎるターゲット層が裏目に出てしまったのだ。

そこで藤原氏が取り組んだのが「再現性の高いCM」の制作。ブランドを認知し、ブランド名でWeb検索をしたりアプリをダウンロードしてもらえたりするような「再現性のある集客」を目標に、広告戦略を一から練り直した。

以前のCMの弱点は、再現性のなさだと藤原氏は認める。

「テレビCMだけでは集客できず、Web広告にクリックしてくれたLINEのIDや1度は使用してくれた人にメールなどを使ってユーザーを追いかけ続ける手法を取っていたため、デジタル広告に予算をかけすぎて非効率だった。例えばスターバックスはCMをやらないが、店舗自体がPR媒体となっている。それは認知が圧倒的だからこそ。認知がないからWebの広告費を払い続けて追いかけ続けなければいけない。まるで罰金のようだった」(藤原氏)

認知の高いタレントと歌との掛け合わせ

そこでWeb広告予算を半分ほどカットし、その分の費用をテレビCMにつぎ込んでマス広告を打つことにした。テレビCMだけで圧倒的な認知度を獲得するために藤原氏が選んだのが「スーダラ節」だった。

「親しみやすさといえば歌。その中でもスーダラ節は多くの人になじみがあり、浜田さんというリーチの広い人と掛け合わせれば効果は絶大だと考えた。伝えるメッセージも企業名だけに振り切った。サービス内容が分かりやすい名前だったことも幸いした」(藤原氏)

藤原氏の狙いは的中し、消費者からは「メロディーが頭に残る!」「つい口ずさんでしまう」と反響が相次いだ。認知率が大幅に上がり、Web広告でお客を追いかけ続ける必要性も減った。そこで既存ユーザーへ向けたWeb広告はやめ、新規顧客獲得向けに絞ったところ、デジタル広告のコストは3分の1に減少したという。

市場調査会社エヌピーディー・ジャパン(東京・港)によると、フードデリバリーの市場規模は20年の1年間で6000億円を超え、前年に比べて44%程度拡大する見込みだ。特に変化が大きかったのは緊急事態宣言の発令期間を含む20年5月で、前年同月に比べて約3倍に膨らんだという。このタイミングで新CMを投下できたことも、認知拡大を後押ししたと思われる。

需要増に合わせて配達員の増強に向けた「お届け篇」を制作し、スタッフ教育に力を注ぐ同社の強みをアピールし、競合との差別化も図った。

めるるで加盟店へPR

ユーザー認知獲得の次なる課題は加盟店を増やすこと。そこで制作したのがモデルでタレントの「めるる」こと生見愛瑠(ぬくみめる)を起用した、ご当地店舗をPRするCMだった。放映エリアごとに地元の人気店を紹介するCMで、めるるの「今月のおすすめ3店は~?」のかけ声に続き、「出前館」が厳選した地元の名店が紹介される。

「(テレビ局の)CM考査ではダブルスポンサードが禁止されていることが多く、出前館のCMで具体的な店舗を紹介するのは難しかったが、諦めず伝え方を工夫し、考査を通すことができた」と、藤原氏は制作時の苦労を語る。

そこまでしてこのCMを作ったのには、加盟店にもユーザーにも出前館にもメリットがあると考えたからこそ。「単純にこのCMで知名度が上がるうえ、CMをきっかけにテレビ番組で特集が組まれて店が紹介される可能性もある。ユーザーにとっても地元の名店を知ることができるのは有益。さらに、出前を日常化するには地元の店をフィーチャーするのが一番だと考えた」(藤原氏)。まさに「三方よし」の施策だったのだ。

20年12月に放映した直後に加盟店が急増し、21年2月4日には5万5000店を突破した。めるるを起用した理由は、「テレビの露出が増えてきて『来そう』だと感じた。ティーン誌のモデルで若年層へもリーチできることや、真面目な人柄も決め手だった」と藤原氏。

このCMでは3パターンの衣装で大枠となる部分を撮影し、それを毎月違うパターンで放送することで運用しやすくした。これなら店舗紹介部分を変更するだけで、新鮮な情報を届けられる。

スーダラ節のCMに切り替え、コストを増やさずに大幅な認知度アップにつなげるなど、コスパの高い施策を次々実行する藤原氏。実はLINE出身で、以前はLINE PayのCMO(最高マーケティング責任者)を兼務していた。出前館は20年3月にLINEグループと資本業務提携を締結し、11月にはLINEアカウントとの連携も開始。約20日で連携アカウント数は100万を超えた。

LINEグループからの新しい風が、知名度・好感度ともに高い浜田というキャラクターの効果を最大限に引き出し、めるるという新たなCMキャラクターの発掘を促した。Uber Eats(ウーバーイーツ)をはじめコロナ禍で激戦が続く料理デリバリー分野で、ユーザーにサービスを想起してもらうにはブランディングや認知度の向上は欠かせない。LINEのリソースをうまく生かせるかどうかも、出前館が勝ち残っていくための重要な鍵を握っているといえそうだ。

(ライター 北川聖恵)

[日経クロストレンド 2020年2月26日の記事を再構成]

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