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2021/3/28

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12.3インチの大型センターディスプレイとメーターパネルを組み合わせ、一体感が表現されたコックピットデザインも新型「ミライ」の注目ポイント。14個のスピーカーを配置する「JBLプレミアムサウンドシステム」が「Z」グレードに標準装備されている

純粋に魅力ある商品を目指したという新型ミライだが、そのスタイリングやパッケージの一つひとつに、こうして機能としての理屈があるのが、マニア的にはうれしい。そして、異例なほど立派なセンターコンソールに寄り添う低い運転席に座ると、自然にスポーツ感が高まるが、そのコンソール下にあるのはシツコイようだが高圧水素タンクである。

新型ミライの本体価格は700万円台が中心で、内外装の質感は、同価格帯である「ドイツ高級ブランドEセグメント車にも見劣りしない」のが目標だったという。まあ、実際の質感レベルはひとつ下の高級Dセグ級というのが正直なところだろう。ただし、ダッシュボード全体が柔らかなレザークッション素材に覆われるなど、トヨタブランド車としては最上級の部類に属するのは事実である。

また、ミライの新車購入時には合計140万円前後の優遇があり、さらに自治体レベルで補助金(東京都では2021年度は135万円予定)が出るケースも少なくない。実質的な本体価格はそれを差し引いた400~500万円台と考えれば、Dセグ級の質感でも不足はないか。

レスポンスはEVそのもの

新型ミライで走り出して最初に気づくのは、先代比でとても静かになったことだ。燃料電池(FC)スタック内部に水素と空気をコンプレッサーで圧送するFCVは、アクセル操作に応じて豪快なブロワー音がするのがお約束だったが、新型ミライでは走行中に「かすかにエアコンっぽい音はするかも」といった程度である。その背景には、車体の静粛性向上やコンプレッサーの静音化ももちろんある。しかし、FCスタックが先代の前席床下から“エンジンルーム”に移設されて、キャビンから物理的に離されたことも大きいらしい。

初代「ミライ」はFCスタックを車体中央に配置していたが、新型ではフロントボンネット下に移設。駆動用モーターは最高出力182PS、最大トルク300N・mを発生する

ただ、ここまで静かになると逆にさみしいのか、新型ミライでは疑似エンジン音(?)をキャビン内に響かせる「アクティブサウンドコントロール(ASC)」という新機能が追加された。これはあくまで乗り手が“クルマ感”を味わうための機能で、「エコ」「ノーマル」「スポーツ」というドライブモードによって音色を変える芸の細かさだ。もっとも派手な音になるスポーツモードだと、踏みはじめの“ファーン”という高い吸気音めいたものから、加速に応じてそこにタービン風の音が重なった豪快な音に変化していく。ただのギミックではあるが、そこそこ気分はアガる。

逆にASCをオフにしたミライの走行感覚は、当たり前だがEVと選ぶところはない。本来のFCスタックの反応にはアクセル操作とわずかなタイムラグがあるが、ミライの駆動システムを厳密にいうと、たとえば「カムリ」と同等のリチウムイオン電池を積んだハイブリッドである。瞬間的な加速をバッテリーからの電力供給が補うことで、右足に吸いつく滑らかな加減速レスポンスはEVそのものだ。源泉となるFCスタックの最高出力は174PSで、先代よりは明らかに力強く、自然吸気エンジンでたとえると瞬間的なパンチ力は3.5~4リッター級、総合的には2.5~3リッター級といったところか。十分にパワフルだが、爆発的に速いわけではない。

走行時に発電のために空気を取り入れるFCVの特徴を生かし、吸入した空気をきれいにして排出する空気清浄システムが搭載されている。PM2.5レベルの細かい粒子の捕捉や有害な化学物質の除去を行うという。作動状況はセンターディスプレーで確認できる
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