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一生懸命やってきたことが別の場所へ連れて行ってくれる

――映画のキーとなるピアノですが、ピアノを弾くのは初めてだったそうですね。

まったくの初体験。だから撮影に入る前にピアノの練習から始まったんです。ピアノの先生にドレミファソラシドの弾き方から教えていただきました。ピアノのペダルが何のためにあるのかも知りませんでしたから。

ただせっかくピアノを習うのだから、映画で弾く曲だけを丸覚えして終わりにはしたくなかったんです。ももクロの現場では時間がないからと「そのときだけのために覚える」ということも多かったりするのですが、もっと基本から知りたいというか。なのでピアノという楽器がどういうものかから教えていただきました。

映画で挑戦したピアノも「基本から覚えたかった」という百田さん。昨年、新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言で活動を自粛していた期間はダンサーの友人にバレエを基本から習ったという

実は昨年末、ももクロの配信ライブ(大みそかに大勢のゲストを招いて開催した『第4回ももいろ歌合戦』)で、尾上松也さんとの共演で映画の曲をピアノ演奏したのですが、撮影から時間がたっても弾けたのはそういう勉強の仕方がよかったのかなとも。

とはいえ、お話が来たときは、「なぜ私のところに来たんだろう」とは思いましたね。以前、土屋太鳳ちゃんと共演したドラマ『約束のステージ~時を駆けるふたりの歌~』(読売テレビ)も、ギターを弾く歌手志望の女の子の役だったんですが、あのときも「このキャスティング、私でいいのか」って(笑)。

――でも東京ドームや旧国立競技場をライブで満員にしながら、NHKの連続テレビ小説に出演したこともある人って、そう多くないと思いますが。

え~、でも私だったら、絶対に私にキャスティングはしませんけどね(笑)。

ただアイドル活動を続けてきて、一生懸命やってきたことが予想もしていなかった違う場所に連れて行ってくれるという経験は何度もしてきました。いつも不思議で面白いと思うし、やっぱりうれしいです。

だから今回もすごくうれしかった。うれしかったんですけど、でも、撮影でピアノを弾きながら「どうして私のところに話が来たんだろう」とは思っていました(笑)。

『すくってごらん』
(c)2020映画「すくってごらん」製作委員会 (c)大谷紀子/講談社
銀行員・香芝誠(尾上松也)は上司への失言が元で、東京の本店から田舎の支店に左遷されてしまう。絶望的な気分でひなびた路地を歩いている彼の前に、あでやかな振り袖を着た美女が現れる。心引かれ、あとを追いかけ、彼女が入ったお店ののれんをくぐると、そこは金魚すくいの店だった。
原作・大谷紀子「すくってごらん」(講談社) 監督・真壁幸紀 脚本・土城温美 出演・尾上松也、百田夏菜子、柿沢勇人、石田ニコル 3月12日公開

(日経BP編集委員 大谷真幸、写真 中川容邦、スタイリスト 関志保美、ヘアメイク チエ[KIND]、着付け 二井野三恵)