百田夏菜子 映画初ヒロイン、ももクロと演技の違いは

日経エンタテインメント!

1994年7月12日生まれ。2008年5月、ももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)の結成に参加。旧国立競技場で女性グループとして初の単独ライブを行うなど、アイドル活動を行いながら、映画『幕が上がる』やNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』などで女優としても活躍
1994年7月12日生まれ。2008年5月、ももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)の結成に参加。旧国立競技場で女性グループとして初の単独ライブを行うなど、アイドル活動を行いながら、映画『幕が上がる』やNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』などで女優としても活躍

3月12日公開の映画『すくってごらん』で、映画初ヒロインを務めるのがももいろクローバーZのリーダー、百田夏菜子さん。ももクロでは元気あふれる明るいイメージの強い彼女だが、映画では尾上松也さん演じる主人公が見ほれる和装の美女、生駒吉乃を演じている。

――生駒吉乃は、主人公が憧れる謎の美女といった存在。ももクロの活動で見る百田さんとはずいぶん異なる印象を受けました。

吉乃は口数も多いわけでなく、しぐさや表情や間で見せていくお芝居でしたから、やっぱりむずかしかったですね。役作りもセリフの裏側に隠された気持ちを探っていく作業が多かった。彼女は恋をしている女の子だったので、「この人のことをすごい好きなんだな」と思いながら共演している方を見て研究したり。

特に気をつけたのは吉乃が持つ雰囲気です。独特な雰囲気があるんだろうなと思っていたので、台本を読んでいるときから関西弁と一緒に声のトーンやしゃべりかたは試していました。ただ、結局は読み合わせをしてみないとわからないですからね。最終的にはそこで方向性を決めていく感じになったんですが、監督と方向性のずれはあまり感じなかったので、ホッとしました。

映画で百田さんが演じたのは、左遷された主人公・香芝誠が転勤先で出会う和装の美女、生駒吉乃 (c)2020映画「すくってごらん」製作委員会 (c)大谷紀子/講談社

ただ撮影がももクロの明治座公演と重なっていたんですよ(2019年に行われた『ももクロ一座特別公演』。2部構成で、第1部が時代劇の舞台だった)。あの時もずっと浴衣で稽古していたんですが、あの公演で私が演じたのはくノ一で、めっちゃふざけている、「てやんでえ」みたいな役だったんです。一度、映画の撮影を離れて明治座の稽古に行ったことがあったんですけど、映画の撮影に戻ったら、監督から「何かやった?」って言われました。たぶん吉乃なのに、てやんでえ感が出ちゃったんでしょうね(笑)。

――監督は長編デビュー『ボクは坊さん。』(15年)が海外の映画祭でも話題になった真壁幸紀氏。左遷されたエリート銀行員・香芝誠(尾上松也さん)が赴任先で吉乃と出会い、というストーリーですが、演出も予想外で新鮮でした。

私も完成した作品を見たとき、「こんな映画見たことない」って思いましたね(笑)。映像で見ても音楽を聴いても、いろいろな角度でエンターテインメントの楽しみ方が詰まっている。

中でも監督が特に撮影でこだわっていたのは、ピアノを弾いているときの絵。浴衣という衣装も含めて、そこにすごく気を使っていたので、その点は原作の漫画よりも監督の指示に従う形でいろいろ試してみました。

吉乃はピアノが大好きだけど、ある出来事が原因で人前では弾けなくなっている。だからこそ一人でピアノを弾いているときに、外に出せない感情が表れていたりすると思うんです。ピアノに乗せる気持ち、隠された思いをずっと探しながら、撮影に向かっていました。

――ライブに臨むときと撮影に向かうときの気持ちの違いは?

自分か、自分じゃない人か、かなあ。ライブではステージに私自身が立っているけど、お芝居だとその役と常に向き合っているので。ただライブでも普段の私とは違う、ステージ上での自分もありますので、そういう意味では共通している部分も多いかなとも思っています。

あとは作り方ですかね。ライブは生ものですからどれだけ準備をしても何が起こるか分からない。お客さんも会場も違うし、同じ曲を歌ってもまったく同じになることはないですから。その空気感やハラハラドキドキが楽しかったりもします。映画のような作品を作るときは、こちらが意図するものをお届けするために、画面の中をどう作るかを考えながら進めていく。一つの作品を作っていく中で、自分じゃない人、自分じゃない人生を演じさせてもらう楽しさがあります。そうやって作り込んでいく作業も好きですね。

何が起こるか分からないライブと、意図したものを作り込んでいく演技。どちらも好きだという
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