日経ナショナル ジオグラフィック社

2021/3/24
アニの大聖堂は1001年、建築家トゥルダトの手によって完成した(トゥルダトはコンスタンティノープルのハギア・ソフィア大聖堂の破損した丸屋根の再建も行っている)。この聖堂に見られるリブ付きボールト(アーチ天井の一種)は、少なくともこれより2世紀後までヨーロッパの大聖堂には登場しない。1064年にセルジューク朝によるアニの略奪が行われてモスクとして改築されたが、1124年にはキリスト教教会に戻された。丸屋根は1319年の地震の際に崩れている(JANE SWEENEY/AGE FOTOSTOCK)
10世紀、バグラトゥニ王朝は、東部アナトリアに大規模な王国の基礎を築いた。961年にアショット3世がアニを首都と定めた。王はここに残っていた5世紀の要塞を利用して、キリスト教国家アルメニアを代表する、壮麗な建築が立ち並ぶ都市を造り上げた。これは、ギュムリにあるアショット3世をかたどった近代の像(VLADIMIR SMIRNOV/GETTY IMAGES)
イエスと啓蒙者聖グレゴリオの生涯が描かれた、13世紀建造のティグラン・ホーネントの聖グリゴリオ教会内のフレスコ画(IZZET KERIBAR/GETTY IMAGES)
14世紀のアルメニア人啓蒙家サルギスが製作した聖ヨハネの福音書。ニューヨーク、メトロポリタン美術館収蔵(ALBUM/METROPOLITAN MUSEUM OF ART)

(文 ANTONIO RATTI、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2021年2月28日付の記事を再構成]