――今の職場で、十分な成果が出せていないと感じている場合は。

無理に転職をしなくても、まずは社内で「掛け算」できる方法を探してみるのもいいですよ。

例えば、社内異動。未経験職種への「転職」は、先ほど話したように不可能ではありませんが、「本当に自分に合うか」という観点では、どんなに情報収集をしても不安だというのも分かります。もし社内で異動の希望を出せるなら、そこで小さく挑戦してみるのも手だと思います。

――キャリアを「掛け算」していく発想は、すべての人に必要だと思いますか。

社内異動から始めてもOK

生き方や働き方の価値観は人それぞれだと思うので、「絶対に」とは言いません。ただ、終身雇用は崩壊しつつありますし、「人生100年時代」が叫ばれるようになって久しい。ビジネス環境の変化や技術革新のスピードは加速していて、地道に「足し算」を積み上げていたのに、その分野のスキルが市場で必要とされなくなる未来もあるかもしれない。だとすれば、自分の「売り」や「チャンス」につながるポイントは、複数持っていたほうが安心です。

転職で失敗しないためにも、約2~3年先を見据えてキャリアを計画する習慣をつけておくといいのではないでしょうか。今の自分にどんな経験が加わると、次の職場で高く買ってもらえそうか。あるいは、より「一緒に仕事をしたい」と思ってもらえそうか。「必要なのに足りない分野・テーマ」の仕事に関しては積極的に取り組んでいくようにすると、未来の選択肢も広がっていくと思います。

村井庸介(むらい・ようすけ)
大学卒業後、野村総合研究所に入社し、通信業・製造業の経営コンサルティングに携わる。その後、リクルート、グリー、日本アイ・ビー・エムなどで、法人営業・戦略企画・人事の仕事を歴任。メガネスーパーを経て独立し、複数企業の取締役を務める。近著に『ずらし転職』(ワニブックス)。転職希望者向けのキャリアセミナーも実施している。

(ライター 加藤藍子)

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